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第63話

「送るね。まだ門限大丈夫でしょ?」 「はい。」 寮の玄関の前にたどり着く。降りようとしたら琉輝さんに手を引かれる 「路夏くん。」 「何ですか?」 「好き…」 「え?」 「あ…ごめん…つい…あのね…俺…最初近づいたの智輝のお気に入りだったから…また智輝を苦しめてやろうと…君が俺へ落ちたら智輝が苦しむだろうって思って近づいた」 そんなの言われなくたってわかってる。 「でも…智輝を苦しめることは普通じゃない…智輝だって同じ人間。幸せになってはいけないはずはない…あいつは本当に優しくて…手がかからない、とてもいい子だ…そんなの忘れてた…でもね君と沢山話してみて…智輝がどんだけ苦しかったか…辛かったか…それさえも気が付かないほどに壊れたのはいつだったのか…どれだけ謝っても足りないほどに智輝にしてきたことを後悔した…君のお陰で少しずつ智輝が人間らしくなってきたのには気付いてた…そうできた君の包容力、暖かな心に俺も引かれてしまった…だから…ごめん…好きになってごめん…でも堪らなく君が欲しいんだ…信じてもらえないだろうけど…返事はすぐじゃなくていい…君の中にまだ智輝がいることはわかってるし…でも…またこうして君と話がしたい…一緒にご飯食べたり…一緒に遊びにいったりしたい…」 「考えておきますね。ありがとうございます」 「うん。またね」 「はい」 琉輝さんの言葉はどれが真実かわからない…でもあの俺を見つめた瞳…あの瞳に宿る確かな物を感じてた。 琉輝さんの車が見えなくなるまで見送り寮の玄関をくぐった…ちゃんと考えて答えを出さないと…そうぼんやりしながら部屋へ向かって歩く 「っ!!何!!」 すると急に誰かに腕を引かれた 「どこ…行ってた?路夏」 「智輝…」 「ねぇ。どこ行ってたの?バイトはもう随分と前に終わってるでしょ?」 「何?久しぶりに話しかけてきて何で俺はお前にそんなに怒られないとならないの?」 これまで目も合わせなかったくせに… 「おいで」 「智輝!痛い!!」 腕を引かれ智輝の部屋に連れ込まれた。 同室の数馬は今日は実家に戻っているらしくいなかった 智輝の部屋のベッドに投げられる 「痛い!痛いよ!」 「五月蠅い!お前は俺の下でだけ啼けばいい!!他のやつに抱かれるな!」 「意味わかんない!!ほっといておきながら勝手なこと言わないで!!」 初めて智輝に乱暴に抱かれて痛くて…苦しくて…涙が止まらなかった… 事を終えボロボロになった服を乱暴に着て急いで部屋に戻った… 「何で…智輝…」 部屋にはいると力が抜けてその場に踞った…あんな智輝知らない… 「くそっ…路夏を泣かせるなんて…俺…何やってんだよ…」 智輝がそう嘆いていたことは俺は知らない

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