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第66話

つい先程まで一緒にいた琉輝さんの名刺を抱き締める…裏には番号が書いてあった…勇気を出してダイヤルを押す trrrr… 『はい。醒井です』 「琉輝さん…」 『路夏くん!!やっと掛けてくれたんだね』 「今日ありがとうございました」 『いいよぉ!俺が一緒に居たかっただけだし』 「今…何してますか?」 『ん?一人でドライブしてるよ』 「あの…会いたいです」 『え!!どうしたの?何かあった?』 優しい声色で言われ涙が零れた 『路夏くん…泣いてる?すぐ行くから。10分位でつけるから』 「うん…待ってる…」 これが演技でもいい…何されてもいい… 溺れてしまいたい… 壊して欲しい…何が本当なのかもうわからないから…酷く扱って欲しい…何なら家畜扱いでもゴミ扱いでも構わない… 時間きっちりに着いた琉輝さんの車に乗り込む 「どこ行きたい?」 「…二人になりたいです…」 「わかった」 そういうと頭を撫でてくれた その手に擦り寄る 暖かい…智輝より少し大きな掌…優しい触れ方だった 着いた場所は高層マンション。 車から降りてすぐのところにエレベーターがあってそのまま部屋に直結してた。 「どうぞ」 「ここは?」 「俺ん家」 「ご家族は?」 「もう独り暮らしは長いよ。ここに誰かつれてきたの初めてだけど。いつもは別宅に連れてくから」 「お邪魔します…」 お洒落な室内を見渡す。センスのいい部屋だった 「座って。今お茶いれるから」 そう促されソファーに座る。とても座り心地がいい 「うわぁ…」 「ん?どした?」 「このソファー…気持ちいい…」 「でしょ?お気に入りなんだ。はい。どうぞ」

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