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第100話
京side
2-A 近衛 路夏くんが事件に巻き込まれ刺されました。
向こうの棟での話は午後にはほぼ学校中に広がっていた
それを聞き始めに思い出されたのは琉輝さん…
最近みっちーと付き合っていることは知っていたけれど…あの人なら急に何をするか…想像もつかない…確かに謝罪には来てくれた…でも…あの時の恐怖はどんなに謝罪されても拭えていなくて。
「律…」
あの日から精神的にも肉体的にも追いやられた俺を変わらず側でささえてくれたのは律だった…
「みっちーのあれ…」
「…違うと思う…あの人が関わっていることはおそらく間違いじゃないけど…でもあの人は…みっちーにはそんなことしない…」
「何で…言い切れる?」
「…あの人は…僕らみんなに誠心誠意謝罪しにきた。あの時の顔…覚えてるでしょ?…それに…あの人は…本気でみっちーに惚れたから…」
「え?」
「話したでしょ?今仕事一緒にしてるって」
最近コラボ商品を出したのは知ってた…だから頷いた
「最近ねあの人の表情変わったんだよ。みっちーのこと大好きな気持ちが沢山溢れてる。だからあの人ではない」
「じゃあ…」
「そんなに気になるなら調べてみるから…待ってて…京」
強い眼差しに頷くしかなかった俺はそのあとは口をつぐんだ…
それから数日…
「は?何で…?」
律から聞いたみっちーを刺した奴の名前に固まる
「亜咲斗のところにも琉輝さんが謝罪に行って…亜咲斗は僕らの中でも一番といっていいくらいひどい目にあってる…謝罪に行った日どうしても…と、着いていってたみっちーへの逆恨みから…当の琉輝さんも…亜咲斗に刺され…亡くなった…みっちーよりも…酷い有様だったみたい…亜咲斗は…みっちーの目の前で自分の首を掻っ切り…死んだ…」
言葉もでない…
「みっちーは刺されたその日から目を覚まさずずっと眠ってる…智輝と由斗は毎日通ってる…」
それを聞いたその日。みっちーに会いに行った…
直ぐにでも起きてきそうなくらい静かな寝顔…
「智輝…」
久しぶりに智輝を近くで見た…相変わらず綺麗で見惚れる…でも…少し窶れた印象もあった…
なのに…みっちーを見る眼は確かに…愛に満ち溢れていた…
「京…律…久しぶり。路夏に会いに来てくれたんだね。路夏喜ぶよ…みーちか…。京と律が来たよ」
その言葉に促されベッドの隣に行く…
「みっちー…」
静かに眠るみっちーをただ黙って見つめる…
俺は智輝のこと大好きだった…智輝を心ごと持っていったみっちーを恨みもした…だから…亜咲斗の気持ちが痛いくらいにわかる…亜咲斗は智輝を通して琉輝さんをみてた…それはもう怖いくらい真っ直ぐに…
それなのに…利用されるだけされて…捨てられた…
どうしようもないこの気持ち…何故か震える体…それを俺よりも小柄な律が抱き締めてくれた
その日以来…みっちーのところには行けなかった…律が代わりに何度か行ってくれて色々教えてくれた…
気付けば時だけが過ぎていく…
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