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第99話
由斗side
智輝から連絡を受け漸く路に会いに来れたのは目が覚めて一年後。こっちでの仕事を全て完了させ日本支社へやっと戻ることができた
これからリハビリが本格的に始まるらしい。
帰国のその足でそのまま路の元へ向かう。
その途中…
「由?由じゃない?」
呼び止められた先には律と京がいた
「由帰ってきたの?」
「久しぶり。今ついたところだよ。これから路のところに行く」
「みっちー?目が覚めたの?」
「あぁ。一年前にね。何も聞いてない?」
「みっちーが入院して直ぐ何度か行ったことはあったんだけど…何となく会うのが苦しくて…その後会いに行けてなかった…亜咲斗のことも聞いたし…琉輝さんのことも…なんか…俺たちでは整理つかなくて…行けなかった…」
「まだ体力が完璧とかではないから…落ち着いてお前らが会いたくなったら行ってやって?じゃあね。あ。そうだ。結婚おめでとう。行けなくてごめんね」
「ありがとう…」
二人は大学卒業と同時に入籍し式をあげている。
この招待状が来たとき…俺は素直に祝福できなかった…
路は目を覚まさないのに何でそんなに…何もなかったみたいに幸せそうに笑ってるの?そう感じたから…
でも…二人が苦しんできたところも見てる…路ならきっと…自分のことより二人の幸せを喜ぶはずだ…
そう思うと冷静になれた…仕事の都合でどうしてもこれなかったのでプレゼントとメッセージだけは贈っていた
「由…」
「ん?」
「大丈夫?」
「何が?」
「…」
「大丈夫だよ。ありがとう。じゃあね」
律が気にしていたのは智輝のことだろう。
二人は俺が智輝のことそういう意味で好きだと思ってるから…
でもね。それは違うんだよ。
俺が今欲しいのは智輝じゃない。
だから心配しないで?
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