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第98話
目覚めて暫くは筋肉が衰えてしまい食事すらままならなかった。
ようやく手伝ってもらって食事が自力で出来たのは更に一年ほど経過してからだった
家族は帰国し現在はここの近くに住んでいて結構な頻度で会いに来てくれる。智輝は毎日来てくれるところは変わってない。
その頃からリハビリが始まった。五年も寝ていたなんて驚いた…
色々なことが重なり目覚めるのを俺がずっと拒否してた…
「琉輝さんに…会いたい…」
そう智輝に伝えたのは目が覚めて一週間後…智輝は静かに涙を溢しあの日のことをわかる範囲で教えてくれた…
亜咲斗の手により…もう琉輝さんがいないことを知った…
何も返してあげられてない…お礼すら言えてない…謝ってもない…苦しくて苦しくて涙が止まらなかった…
俺が琉輝さんと付き合うなんて言わなければ…酷いことした人たちに謝りに行こうなんて言わなければ…
今更後悔しても遅い…
…今思い出されるのは…琉輝さんの優しい笑顔…
そして…亜咲斗の苦しそうな笑顔…亜咲斗のこと誰も見てなかった…亜咲斗自身を認め愛してくれる人がいれば…
でもそれを奪ったのは間違いなく俺…
「亜咲斗…ごめんなさい…」
どうか…どうか…来世では君だけを愛してくれる人が見つかりますように…
こんなの…自己満でしかなくて…亜咲斗がバカにするなと俺を罵倒する声が聞こえた気がした…
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