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第106話
退院したと同時に俺は智輝と同棲することになった。
小さなアパートの一室。
最低限のものしか置いていない簡素な部屋
「ごめんねぇ。これくらいしか用意できなくて。もっといい部屋にしたかったんだけどね」
「俺は狭い方がいいよ。だってそれなら智輝の姿がずっと見られるでしょ?」
「何それぇ…可愛いんだけど」
俺が眠り続けている間、そして今日を迎えるまで智輝は残った会社を立て直す為多くの努力をした。
醒井グループについてしまった黒いイメージ。信用は地の底まで落ちた。その評判を回復するため身を粉にして自ら動いた。
前みたいに贅沢な暮らしは出来ない。智輝は社員の待遇を変えないまま自分の給料は最低限にまで下げた。
屋敷は手放し使用人たちのその後の仕事も斡旋した。
社長とは名ばかりで他の社員以上に走り回っていた
お陰で軌道修正に成功してまた信用も戻ってきた。
これが俺が眠り続けていたときに起こった五年の出来事。
どれだけ大変だったのか俺には到底理解できないけれどそんな中毎日会いに来てくれていた智輝に嬉しさが込み上げた。
「智輝…ありがとう」
「俺は何もしてないよ。由が色々手伝ってくれた。それに律もね」
律の会社は前以上に大きくなっていた。立て直しが成功したのも律の会社の影響が大きい
「ねぇ。路夏」
「ん?」
「あのさ…快気祝いのパーティーしたいって思ってるんだけど…お世話になった人みんな呼んで…みんな路夏に会いたがってたし…俺の元恋人たちも…呼んでもいいかな?」
「いいよ。でも…今日は二人で過ごしたい…」
智輝に手を引かれ寝室へ向かうお互いの心臓が壊れそうな位速くなっている。
久しぶりの繋がりはとても幸せで朝まで抱き合っていた
「路夏…愛してる…」
智輝の何度も繰り返される囁きに酔いしれた
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