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第110話

「お兄ちゃん」 「紡くん。優芽ちゃん」 「すごいねぇ!お兄ちゃんのお友達みーんな王子さまみたいな人ばっかりぃ!!」 優芽ちゃんが興奮しながら俺の手を握りブンブンと上下に動かす。 「やっぱりお兄ちゃんが美人さんだからだよねぇ!いいな!優芽も王子さまに出会いたい!」 「優芽ちゃん…声大きい…うるさい!」 「なによぉ紡ちゃん。さては…ヤキモチ?でしょ。もう。可愛い!」 「優芽ちゃんやめてよ。」 グシャグシャと紡くんを撫でる優芽ちゃん。 「ふふっ…仲良しだね。二人とも」 「うん!私紡ちゃん大好き!なのにね聞いてよお兄ちゃん!紡ちゃんたら私と一緒にいるの嫌がるんだよ!酷いよね?」 この年頃になると姉弟で仲良くしているのが恥ずかしいのだろう。 「優芽ー!ちょっとおいで」 義父に呼ばれる 「はぁい!」 たたたっと軽快に駆けていく優芽ちゃんを見送る 「やっぱり優芽ちゃんといるの嫌なの?」 「違う…優芽ちゃんといると周りの男の子達が俺の事女の子ってからかうんだ…」 確かに綺麗な顔立ちで小柄な紡くんはからかわれてしまうのかもしれない 「それを優芽ちゃんが助けにきてくれるから…もっと…からかわれて…」 「男の子のお友達は紡くんと仲良くなりたいんだろうね。好きなお友達はいないの?」 「…っ…いるよ。あのね。久保くんって言うの。久保 綾李くん!」 「そう。」 「綾李くんはね!あのね!すっごくカッコよくて強くて優しくて!ヒーローなんだぁ!!」 先程とは打って変わってキラキラした笑顔で綾李くんの話をしてくれる。 こんなに大好きなお友達がいてよかった… 「綾李くんは紡くんをからかったりするの?」 「しないよ!!いつも強くなるための事沢山教えてくれるんだぁ。男は自分の身は自分で守れるようになりなさいって!」 「こんど綾李くんと話したいな。」 「うん!綾李くんに言っておくねぇ!!」 「路夏」 「義母さん」 「今度は家に智輝くんと一緒に遊びに来て!料理頑張っちゃうから!」 「ありがとうございます」 「もう…本当に…智輝くんは美人ねぇ」 「そうでしょ。俺の自慢の彼だからね」 悪戯に微笑みかけると義母も柔らかく微笑み俺を抱き締めた。 「路夏…幸せになるのよ」 「うん。智輝がいてくれるから…それだけで俺は幸せなんだよ」 「智輝くん。路夏のことお願いします」 「はい」 こうしてその夜は更けていった…幸せな気持ちのまま眠りにつく。 「智輝…ありがと…」

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