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更紗の場合/25
「おはよぉ。更さん」
体に覚えのある感覚…また俺は拘束されていた。
違うのは服は着てるということと…四肢を拘束されていると言うこと。
三芳の時は首輪と腕だった。足は動かせた
光則さんは怒ったとき以外は拘束はしなかった。
「…っ…何で…佐知くんまで…」
泣いた。泣くしかなかった…
「更さん…更さん…更さん…」
壊れたように何度も俺のことを呼ぶ佐知くんは何とも言えない表情をしていた
「助けて…ここから…出して…もう…やだよ…」
「嫌だ…もう離したくない…やだ…」
前とは違う…今はこんな俺でも必要としてくれる人が外にいるのに…
「ねぇ…やだよ…」
「やだ…更さん…俺じゃないとダメな体になれば良い」
時に激しく時に優しく。佐知くんは俺を翻弄していく。
美芳の時は俺は優しさに引かれていったけど佐知くんの優しさはどこか仄暗く底知れないものがあり恐怖でしかなかった。
そんな日々を過ごしどのくらいたったのだろう…
いつしか俺は情事の時にしか声をあげられなくなってしまっていた
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