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空雅の場合/22
『みやび。人いるか?』
ピアス型のスピーカーから音が聞こえる
「痛い!離して!ちょっと!待って」
『了解』
「何なの?邪魔しないで。僕たち急いでるから」
「じゃあ萌葱だけ貸してよ」
「やだよ。萌葱からその汚い手を離して!」
「随分気の強いお姫様だな。萌葱。へたれなお前によくお似合いだな」
「はぁ?あんたたち何いってるの?萌葱はそんなに弱い子じゃない!」
「へぇ…この子にもまだあの事話してないんでしょ?俺が代わりに話してあげる。」
「やめろ!」
「お姫様。こいつね双子の弟に犯されたことあるんだよ。その時のこいつすげー喜んでたの」
「ちがっ…!」
「だから何?それでも前を向いて歩いてる萌葱は強い。終わったこといつまでも引き摺ってそれを持ち出すあんたたちの方が弱い!」
「萌葱。俺たちに付き合わないならあのデータ世間に流してもいいよな」
『音とれた。みやび』
「OK…そこまでだよ。これ、脅しだよね?」
「だからなんだよ」
控えていた黒服たちが男達を取り押さえる
「君たち。十分にお灸を据えてもらうんだね。行こう!萌葱」
萌葱の手を引きマンションへ引き返した
扉を閉めるとカタカタと震えていた萌葱がしゃがみこむ
「ごめん…みやび…」
「頑張ったね。ほら。あっちいこ。ね?」
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