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空雅の場合/31

萌葱side その日から数日後。相変わらず俺はあいつらの玩具にされて帰宅しては緋色に慰めてもらっていた。 あの呪いは今も俺たちを縛り続けている こんな日が続いていくんだ…そう思っていたのにある日突如緋色の態度がよそよそしくなった… 朝は一緒に行かなくなったし部屋も変えてもらった。 お互い家にいても会話すらしないなんて当たり前になっていった。 これまでみたいに慰めてくれることも無くなった… 変な距離感である俺たちに家族は心配していたけれど俺も緋色も何も言わないから母たちはなにも言えなかったようだ。 あいつらはいつしか来なくなり俺を抱きに来るのは緑だけになった 「萌葱」 呼ばれて今日も体を開く 「萌葱。これからはあいつらこねぇから。話しつけたから…だから…大丈夫だよ」 「は?意味がわからないんだけど」 「俺…本気だから…緋色にも話した」 「何勝手にやってんの?」 「お前は俺のだって」 「え?何でそんなこと」 「どんなに思ってたってお前ら兄弟だろ。どうせお前たちが繋がることはない。一生叶わない想いのままでお前は幸せになれるの?俺だったら幸せにしてあげられるかもしれないのに」 「勝手に決めないで!俺は…俺は緋色のことが…」 「家族を裏切る覚悟は?」 「っ…」 「どんなことにも耐える覚悟は?」 何も言えなかった…結局俺の気持ちは…緋色の気持ちは世間で認められるものではないから… 「だって…俺…緋色のこと好きなのに…何で…」 「泣くなよ…萌葱…ね?」 涙は止まってくれない。どうしてこんなに好きなのに…どうして… そんな俺をずっと抱きしめ背中を撫でてくれた。 「もう…楽になっちゃえば…もえちゃん…」 懐かしい呼び方… こいつはかつては親友だったんだ… 俺と…緋色の… 「もう…やだ…やめてよ…緑…」 「ごめんね…もえちゃん…」 「どうして?こんなに酷いことができるの?俺は…俺たちはお前のこと親友だと思っていたのに…」 結局卒業まで緋色との会話はなく諦めることなく愛を囁く緑の想いを断りながら卒業を迎えた

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