紫水side まさか…まさか…空雅の話してくれてた“八尋さん”が…やっちゃんさんだったなんて… 飛弦さんは名字で呼んでたし周りの人は“やっちゃん”って呼んでたし充は“やっくん”って呼んでた。 充との交際を俺にお願いしに来たときは名字しか聞かなかったし… 勝手に“清澄 やす○○”さん…って思ってた “やすひろ”とか“やすゆき”とか“やすし”とか… 何でまた…同じ人に惹かれてしまったんだろう… そして…突きつけられた真実は…やはり俺は選ばれない…っていうこと…空雅は本人は気付いてないけどやっちゃんさんのこと思ってるはずだから… どうすればいい？どうすれば…俺は…この人に勝てるの？ 知らない誰かなら…どうにでもできたのに…何で…よりにもよってこの人なの？ 嫌というほど知ってる。この人がどんなに素晴らしい人なのかってこと… 性格もいいし容姿もいいし…嫌なところなんて見付けられない人…何にしても俺に勝てるところは１つもない… でも…空雅は渡したくないよ…お願い…手を引いてよ…