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深雪の場合/9

三徳side 走り去る深雪を追えなかった。追えるはずなかった…だって裏切ったのは真実だから…薬に浮かされていたとはいえ相手を貪るように堪能するなんて…言い訳なんてできるわけない… あの日…研究室の会議がありその後パーティーがあった。日付が変わる前には帰宅するつもりでいたから全くアルコールは取らないでいたのだが… ほんの少しの間目を離した隙にドリンクの中に何か盛られたようだった。体が熱くて熱くて堪らなくて動けないでいたら研究室のとても懐いてくれている生徒が解放してくれて… その後は正直あまり覚えていないが体の様子からどう考えても事後… 隣で眠る白濁と汗とで汚れた彼を置いて帰宅しようとしたのだが部屋は外から鍵がかかっていて外を見るとそこは高層階…。 「教授…ねぇ」 「すまなかった…私としたことが…」 「いいえ。すごく良かったです。ねぇ…また楽しみましょうよ…」 「いや。愛する人がいるから。」 「だめです」 「っ…君…何を?…っあ…まさか…」 「ふふ…帰しませんよ。」 首筋に針を刺され液体を注入された。昨日よりも強いものだ… 体の自由を奪われ強制的に与えられる快楽。無理矢理に繋がってきた華奢な彼。 「教授…僕にしてよ」 「いやだ!私は!深雪を…」 「ふふ…こんなに多くの男に襲われながらも喜んでる淫乱な彼?顔だけがいいこの子?」 見せられたのは男たちに弄ばれながら悦びに震える何よりも美しく愛しい天使の姿…男たちの顔は映っていない。相手は誰なのかさっぱりわからない 「深雪…」 「ね?僕たちも楽しも?どうせ帰れないでしょ?」 違う!!あれは…あの顔は全てを諦めた顔だ…初めて出会ったときの表情…多くの男に買われ…抱かれ…それしか生きる道はないと…そう諦めていたあの頃の顔だ…やっと…やっと…柔らかな表情取り戻せたと言うのに!! 「深雪!深雪!」 呼んだところで深雪に届かないことはわかってた。 でも呼ばずにはいられなかった 「深雪…!」 「帰さない」 そう言うと怪しく笑いどうみても合法ではない薬物が追加で注入された。多量に摂取させられた薬物のせいで我を失った私は何度も何度も彼を求めた 愛しい人の名を呼びながら…醜く涙を流しながら… 気付けばさらに翌日。そしてまた薬を… 「も…やめてくれ…」 「やだよ」 「深雪が泣いてる…きっと泣いてる…頼む…帰して…」 「やだ…」 それでも解放してくれない彼。更に投入される薬物…苦しい…もう…耐えられない… 彼がイキ過ぎて気を失ったのを見計らって部屋の扉を椅子やテーブルでなんとか破壊して外鍵を開け足早に立ち去る。 帰宅した瞬間から深雪は泣きそうな顔で叫ぶ 初めて見る姿に戸惑うのと同時に沸き起こった喜び。… そして直ぐに訪れる罪悪感…己に対する嫌悪感… そして深雪から告げられた深雪を傷付けた相手を聞き己がいかに愚かだったか…だって自分が信頼して止まなかった者たちの仕業だったのだから…信頼していた同僚や可愛がっていた生徒たちの人道から外れた行為に怒りは押さえられなかったが…でも…深雪の表情を見れば…手を伸ばせなくて…ただずっと側に置いておきたいと言う己の勝手な願望のために深雪をここに連れてこなければ…片時も離れていたくないという私の子供みたいな我が儘で研究室に深雪を通わせるなんてことしなければ…深雪は…深雪は… 「深雪…」 走り去る深雪の後ろ姿が遠退いていく…追いたいのに追えない…体が鉛のように動かない…そのまま私は意識を飛ばした…。 私の脳裏に最後に浮かんだのは深雪の泣きそうな苦しそうな表情だった ごめん…深雪…それでも…私は…君を…君だけを…愛してるんだ…戻ってきて…深雪…… 叶わない願いと共に闇へと落ちた

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