「深雪。大丈夫？」 「うん…少し抱き締めていてくれない？」 叔父の謝罪とルイさんのこととビックリしすぎて何だか疲れた… でもきっともう叔父は大丈夫だと思えた。叔父とはまだ幼い頃よく遊んでもらったものだった。いつもニコニコして我が子のように可愛がってくれた… 叔父たち夫婦には子供はなくそれ故のことだったのだろう。 両親が亡くなったあの日一番に病院に来てくれたのは叔父だった。そんなことを思い出す 自分の事のように苦しそうにしている叔父を僕はどうして忘れてしまっていたのだろう？ 「ゆう…叔父はね優しい人だったんだ…すっかり忘れてた…叔父がおかしくなったとき…実は叔母の浮気が発覚したの…叔母はね叔父の事を確かに愛してた…誰よりも深く…でも叔父がみているのは叔母ではなくずっとずっとルイさんだったんだろうね。自分が浮気でもしたらしかってくれるかもしれないと…そうなれば自分も愛されていると実感できる…そう思って…本気になんてなるつもりなくて本当にほんの少しの出来心で…でも叔父は叱るでもなく優しく笑って許した…そこで叔母は自信をなくし自棄になって…男を取っ替え引っ替えし始めて。叔父は自分を攻めていたよ。それでもどうしても叔母を愛してあげられないって。叔父はね…始めから僕を引き取るつもりだった。病院で言われたの。うちに来るかって…そんなことも忘れちゃってたよ…でも叔母が良しとしなかったし祖父母もまたしかりで…きっと母親が叔父の愛した人であるルイさんの姉だとあの頃から知っていたのかもしれないね。父は祖父母の反対を押しきって母と一緒になったみたいだし。 僕はあまりあったことのない遠い親戚の家に預けられてそれからはゆうも知っての通り。結局行く宛がなくなったから僕は叔父のところに。 …ルイさんに似ていく僕をみてきっと叔父の中にある何かが溢れだしておかしくなって…そして…」 「深雪…叔父さん怖い？」 「全く怖くないっていったら嘘になるかもしれない。でもルイさんの隣にいる叔父は何だか許せた。不思議だね…きっと僕は叔父をもう恨むことはできないね。ゆうを僕にくれたのは間接的だけど叔父だから。」 「深雪は強いね」 「ゆうのお陰だよ…ありがとう…これからも側にいてね…」 「みゆちゃんが嫌だっていっても離してあげられないよ。覚悟しておいてよ？」 「ありがとう…ゆう…愛してる…」 まだ叔父と完全に和解できたわけではないのかもしれない…でもいつかきっと…ルイさんが側にいてくれているから… 僕たちはこれから先もっと長い人生を生きていく。 みんなが幸せであるように…僕は祈るように瞳を閉じゆうの胸に顔を埋めた… fin.