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深雪の場合/35
マユ&ルイside
「深雪…また綺麗になった…」
「マユは彼に酷いことを…」
「ごめん…どうかしてたんだ…本当にどうかしてた…深雪は…母親に似て本当に温厚な優しい子だったんだ…それなのに…俺は…」
「…結果的にはゆうくん?みたいな素敵な人と出会えてあんなに幸せそうに笑ってるんだから良かったのかもしれないけど…マユのしたことは許されることじゃないし俺も許す気はないよ。彼は…ゆうくんは、ちゃんとした子なんでしょ?」
「有坂薫さん覚えてる?」
「うん。向こうにいるときお会いしたよね…それに三徳さんと一緒に俺を助けてくれた人」
「その息子さん」
「あの子が由斗くん」
「あぁ。深雪とは幼稚舎から一緒で同級生。由斗くんはお父上譲りの正義感と責任感。誠実さを持っている。その片鱗は幼い頃からあった。結婚して10年くらいたった頃…まだ兄が元気だった頃会ったことがあった。真っ直ぐ見据えて話をする姿は有坂さんそのものだった…深雪の隣にいるのが彼でほっとしてる…」
「俺の可愛い甥っ子が選んだのが有坂さんの息子さんなんて…運命を感じてしまうね」
「…」
「マユ。君は一生掛けて深雪に償わなければならない勿論俺も一緒に背負うから…」
「わかってる…」
「帰ろうか…マユ。」
「うん」
深雪…ごめんね…幸せになってね…
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