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第4話 一筋の糸。
最初は触れただけの優しいキスだった。
彼の唇が俺の唇と重なっている…それだけで、彼の自分への想いが伝わって来た。水無月は、その想いに答える様に、彼の背中に手を伸ばし抱き締め返した。
文月は、彼の下唇を舌でなぞり『もっとキスして良い?』無邪気な笑顔で水無月に尋ねた。
「ん?うん。」
答えるのと同時に水無月の上唇と下唇の間に彼の舌が滑り込んできた。水無月は驚き、身体を離そうとしたが、力強く抱き締められ、文月の舌が咥内を縦横無尽に動き回り、全身の力が抜けた。
「ぴちゃっぴちゃっ」と水面を跳ねる様な音が部屋中に響き渡り、水無月は恥ずかしさと興奮の中に居た。
舌を絡め取られ、強く吸われた。
「…あっ…んんっ」
『ぴちゃっ…くちゅくちゅっ』
気が付けば、自らも文月の舌の動きに合わせ、自分の舌で彼の咥内を愛撫していた。不意に水無月の咥内を占領していた文月の舌が抜かれ、2人の甘い唾液で繋がれた一筋の糸が名残惜しそうに水無月の舌から伝え落ちた。文月は唾液で濡れた彼の唇の周りを、親指の腹でゆっくりとなぞり、その指を舌先で愛撫する様に舐め取り、意地悪そうな笑顔を浮かべ水無月に尋ねた。
『もっとしたい?』
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