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酔っぱらい 3(side:佐藤くん)☆
強く腕を引っ張られてベッドに乗り上げた僕を、斉藤先生は酔っぱらっているとは思えないような力強さと素早さで仰向けに転がして僕の上に馬乗りになった。
「あの、斉藤先生?」
なぜこんなことをされるのかわからなくて混乱している僕に、斉藤先生はうれしそうに微笑む。
「いい匂いがするね。
俺のために風呂に入って待っててくれたの?」
「え? はい、斉藤先生が帰ってくる前に済ませておいた方がいいかと思って」
「ふふ、ありがとう。
じゃあ、その短パンも俺のためにはいてくれたんだよね。
うれしいな。
そういうことなら、ご期待にそえるようにしないとね」
え、ご期待って何のこと?と思っていると、突然、斉藤先生がおおいかぶさってきて、僕の唇をふさいだ。
「っ!!!」
いきなりキスされて驚きのあまり固まっている僕に、斉藤先生は舌まで入れてくる。
初めての感触にまた驚いてしまったが、そのおかげでようやく我に返った僕は、斉藤先生を押しのけようと先生の肩を押したが、びくともしなかった。
しかも、耳や首すじを優しく触られて、ぞわぞわして体に力が入らなくて、とてもじゃないが押しのけられそうにない。
「んうううーーー!!」
これは力ではどうにもならないと、ふさがれた口で大声を上げると、ようやく斉藤先生は僕の唇を解放してくれた。
「せ、先生!
誰かと勘違いしてます!
僕です、佐藤です!」
濃厚なディープキスに、これは絶対恋人か誰かと間違われていると判断した僕がそう叫ぶと、斉藤先生は不思議そうな顔をした。
「勘違いなんかしてないよ?
佐藤くんだろ?
かわいくて、愛しい、俺の佐藤くん」
「えっ」
斉藤先生の口から出た信じられないような言葉に僕が動揺していると、先生はいきなり僕のTシャツをぺろんとめくった。
「ふふ、思った通りのかわいい乳首だ。
おいしそう」
「は? なに言って……ちょっ、なめちゃだめ……!」
なんと斉藤先生は、あろうことか僕の右の乳首をぴちゃぴちゃと音を立ててなめ始めてしまった。
それだけではなく、空いている左の乳首も指でつまんでくりくりといじり、さらには太ももまで撫でてくる。
「やっ、だめ、先生、だめですって……!」
僕がいくら抗議しても、斉藤先生は構わずに僕の乳首を舌で転がしている。
そしてそのうち、僕は自分の体に変化が起こり始めていることに気付いた。
……え、ちょっと待って、僕、これ、勃ってない?
なんで?
確かに触られてるとこはむずむずするけど、それだけ……って、まさか、このむずむずするのって、感じてるの?!
「うれしい、感じてくれてるんだ」
「ちがっ……!」
感慨深そうに斉藤先生にそう言われ、反射的に否定したけれど、僕の体の状態は斉藤先生にはバレていたらしい。
「恥ずかしがらなくてもいいから。
ね?」
そう言うと斉藤先生は、短パンの上から僕のモノに触った。
「ひゃっ!」
「ふふ、かわいいなあ。
慣れてないんだね、そんな声出して。
怖がらなくても大丈夫だよ。
一緒に気持ちよくなろう」
そう言うと斉藤先生は僕の隣に横たわると、自分のズボンのベルトを外して……外して……。
「え?」
ベルトをはずすカチャカチャという音が止まっても動きがないので、斉藤先生を見ると、先生は完全に目を閉じていた。
え、まさか寝たの?
このタイミングで?
……じゃなくて、逃げなきゃ!
我に返った僕は、斉藤先生を起こさないように、そっとベッドを降りた。
ベルトに手をかけたままの斉藤先生は寝息を立てていて、すぐには起きそうにない。
僕はそっと部屋を出て、そのまま自分の部屋へと移動した。
────────────────
「なんなの、あれ……」
ここに引っ越してきてから初めて内鍵をかけた自分の部屋でベッドに腰掛けた僕は、ドキドキしている胸を押さえながら、呆然とつぶやいた。
さっきまでの斉藤先生が酔っぱらっていて正気じゃなかったのは間違いない。
「けど、僕のこと、愛しいって……」
確かに斉藤先生は酔っていたけど、でも僕が佐藤だということはちゃんと認識していたように思う。
「それに、キ、キスとか色々……」
僕が僕だとわかっていたのに、斉藤先生は僕にキスしてエロいことをしてきたのだ。
だいたい、もし僕を女の人だと勘違いしていたのなら、いくらなんでも胸をなめた時点で勘違いと気付くはずだと思う。
「っていうか、乳首……」
そうだ、僕はあの斉藤先生に乳首をなめられてしまったのだ。
「でも、嫌じゃなかった……」
確かに驚きはしたけど、嫌だとか気持ち悪いとか思うことはなかったのだ。
それどころか僕は、乳首と太ももを触られただけなのに、勃ってしまうくらいに感じていた。
「……どうして……?」
混乱した僕は、そのまま長い間、呆然と座り込んで動くことができなかった。
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