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第2話

『世界最大級のダイヤモンド発掘される!』 そう。そのダイヤモンドの発掘者はこの俺、高柳潮(たかやぎうしお)である。 中学3年の夏、もともとジュエリーショップを営んでいた両親と一緒に、夏の思い出として宝石発掘体験へ行ったのだ。 ごくごく普通のモサい俺は、ごくごく普通にごくごく普通の子供と同じように、たった一本の金槌を持って地面をは叩いていたはずだった。 はずだったが 偶然叩いたダイヤモンドは、気がつけばオークションで日本円にして506億円の値がつけられていた。 そしてそのあまりの大きさと高貴な輝きに、栄誉ある名前までつけられたほどだ(噂によればどこかの国の女王さまの王冠につけられることになったらしい)。 そして、忙しすぎてほぼほぼ記憶はないけど、世界最大級の宝石発掘者として世界中のメディアに露出をしている間、気がついたら俺の家は大金持ちになっていた。 どうやら、手元に残ったダイヤモンドを加工しデザインして販売することによって(ダイヤモンドで儲けた金自体はほぼほぼ税金で持っていかれたらしい)、うちのタカヤギジュエリーをチェーン展開させるまでに成功したようだった。 うちの父親もなかなかやる。 その結果? 俺は奇跡の子供として社交界に出た。 そして当たり障りのなくなるように、親に東京の青山にある超高級美容室に放り込まれ、毛深いもさもさの髪と眉を捨て、きりりとした髪型と眉を手に入れることに成功した。 おるちゃん?  は違うのか? いわゆる韓国風の髪型である。 割と似合った髪型だが、いかんせん整えられたての俺はチビなガキで(160のままでほぼ3年間を過ごした)、俺の発掘した宝石ブームが過ぎ去るまではチビなままで過ごした。 そして宝石ブームが過ぎ去った2月から、俺はたった2ヶ月の間にプラス25センチの身長を手に入れた。 毎晩骨が軋む音がした。 痛くて死ぬかと思った。2ヶ月の25センチより3年間の25センチの方がよっぽどよかったよ神様。 その結果、丸っこいあの時の俺とは想像もできないくらいすらっとした、男になったとは思う。 中学時代この見た目だったらきっとモテたよなあと思うくらいには。 せめて取材がめっちゃ来てた間に成長してくれればと涙ながらに今思う。 ほんと神様はひどい。 男子校なんて恋愛対象1人もいないだろ。 この見た目で乗り込んだところで何も起きないぞこのやろー! ここまで話を聞いてわかるかもしれないが、俺には今、自分が金持ちという自覚が1ミリもない。 しかし今俺がいるのは紛れもなく、日本でも有数の金持ち御曹司しか入ることができない完全全寮制の金剛学園の理事長室である。

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