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「何度でも言うよ。俺は、涙が好き。すごく大切な、友達だから」 「……ゆ、ゆう……あの……」  一気に吐き出すように言って、そして、涙の表情を見て我に返る。顔を赤くして、びっくりしたように俺を見て。 「ご、ごめん……乱暴する気は、ないんだ……」 「う、うん……」  我に返ったのに、涙への「可愛い」は俺の中で膨らんでゆく。自分の行動が、衝動ではないのだと思い始めてしまう。俺はこのまま涙をどうしたいんだろう。頬を染めて俺にとろんとした眼差しを向けてくる涙に、何を想っているのだろう。  自分をたしなめるように、俺は涙に覆いかぶさるようにして抱きついた。優しく、涙が怖がらないように。 「ゆ、ゆう……って、……時々、その……」 「え?」 「……す、すごいこと言うから、……どきどきする」 「えっ!?」  涙が俺の目を覗き込んだ。息がかかるほどに、顔の距離が近い。俺が抱きしめているせいかちょっと緊張しているようにも見えるけれど、涙の目に、恐怖の色はない。 「……どきどきするの、嫌?」 「……わ、からないけど……あの……恥ずかしい、」 「……もっと、どきどきさせてあげる」  きらきらと輝く涙の瞳が、綺麗。こうしてすごく綺麗なときは、涙が嫌がっていないとき。  涙は、こうして正直に気持ちを伝えれば、喜んでくれるのだ。また何かをきっかけに自己嫌悪に陥ってしまうかもしれないけれど、何回も何回も俺の気持ちを伝えていれば、そのうち自分を好きになってくれるはず。それこそ、今まで涙が言われてきた酷い言葉よりもずっと多く、俺の「好き」を伝えるんだ。 「大好き、涙」 「はっ……はずかしい、ゆう」 「どきどきした? 涙」 「う、うん……」 「これからもずっとどきどきさせてあげる!」  可愛い。涙は、可愛い。大好きだ。  もしも涙が病気で苦しむなら、俺が助けてみせる。涙は自分の病気のことを知ってしまって、これから辛いかもしれないけれど、でも俺が支えてあげる。 「涙。ずっと、友達でいよう」 「……うん」  遠慮がちに。涙が俺の胸に頬ずりをする。きゅん、と胸が鳴った。  俺たちは、幸せになれる。そんな未来を、知らせるように。

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