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第31話

「何でこんな時期に与論なのよ! 泳げないじゃない! カリブ海ならわかるけど」 「俺のクルーザーで行くんだ! 東と与論で釣りをしようって約束なんだ!」  一奈と戴智の姉弟げんかが勃発した。原因は、新婚旅行の行き先。正月休みに行くのだが、二組とも同じ場所でないと都合が悪い。  相談をしようと集まったカフェで言い争いになり、璃子は一奈を、東は戴智を一生懸命なだめる。 「新婚旅行は璃子とパリやローマでショッピングをしようって決めてんの!」 「パリなんか寒いだろう。ゴールデンウイークにでも行けばいいじゃないか。俺たちも付き合うし」 「だって、せっかくの新婚旅行を国内なんて…」  話は一向に進まない。言い争いは止み、冷戦状態だ。しばらく沈黙が続いたが、璃子が口を開いた。 「あ、あの…。今は寒いし…与論島でもいいと思います」  煙草が吸えずイライラし始めた一奈は、驚いて隣の璃子を見た。 「一奈さん、沖縄に二泊ほどして三日目あたりに与論島で、戴智さんや東さんと合流しませんか? ゴルフをしたり、おいしい物を食べたり、のんびり過ごすのもいいですよ」  一奈は腕を組み、しばらく考えこんだ後、大きく息をついた。 「…わかったわ。璃子に言われちゃ、しょうがないわね」  璃子に優しい笑みを向けた後、戴智の鼻先に人差し指を突きつける。 「いい? 今回はあんたたちの言うとおり、与論にしといてあげる。ただし、ゴールデンウイークにはパリとローマよ。わかった?」  かくして、新婚旅行の行き先は、与論島に決まった。 「うわっ、さすがに寒いな」  海風は、都会の風より寒い。ブルゾンの前をかき抱いて、震えながら戴智と東はクルーザーに乗った。  十二月三十日の朝。王永市ヨットハーバーを出て、和歌山で一泊。与論島で元旦を迎える予定だ。  クルーザーは海上をすべり出す。真夏とは全く違う弱い日差し。ようやく全貌を現した太陽は、水平線のはるか遠く。少し灰色の空、夏よりも暗く見える海。 「東、ここは寒いから、ベッドルームにいた方がいいぞ」  エアコンがあるのだが、操縦席は狭くエアコンがやたら効いてしまい、上昇した温かい空気で顔が火照ってしまう。夏は冷房にするが、冬はエアコンを使わず、小型のストーブをつける。 「いいえ、戴智さんのそばにいさせてください」  以前のクルーズでも、東は同じことを言っていた。戴智は、東がそう答えるのを知っている。知っていても、やはり東の口から聞くことで戴智は安心する。  夜七時、和歌山のマリーナに着いた。夜釣りをしたかったが、明日の朝も早い。夕食を取って早めに寝ようということになった。  バスタブは無いため、風呂はシャワーのみ。暖房がついてるとはいえ、風呂上がりは寒い。 「東、冷えるからこっちに来い」  ベッドの中にいる戴智が、ブランケットをめくって東を呼ぶ。  ベッドにもぐると、東は戴智に寄り添った。 「さすがに、冬の海は寒いですね。でも、こうしてると、お互いの体温で温かいです」 「もっと温めてやろうか?」  戴智が東を抱きしめると、東も抱き返してくる。そのまま吸い寄せられるようにキスをする。互いの舌が絡み、吐息が混じる。舌の動きに合わせているように、手は激しく背中をまさぐる。そのうち戴智の手が下りていって、尻を撫でた。撫でるだけでは飽きたらず、パジャマの中に手を這わせて尻の間に指を侵入させる。 「あ…だめ…いきなり」  東を強く抱き寄せ、戴智は中指をアヌスに入れた。するりと難なく入り、戴智は東の顔を覗きこむ。 「いきなりじゃないだろう? 指がスムーズに入ったぞ。シャワーしながら、後ろをほぐしただろう?」  東の顔が真っ赤になり、恥ずかしそうに目を伏せる。普段は落ち着いていて、積極的に求めることもあるくせに、セックスのときはからかうと恥ずかしがる。そのうち我を忘れて乱れる。その様が可愛くて、戴智はさらにからかいたくなる。 「どんな風にした? こうか?」  入り口近くで中指は円を描く。 「あんっ…」  東が戴智の背中にしがみつく。パジャマのズボンを脱がせ、中指を奥深くに進める。途中でグイッと曲がる。 「あっ…、そ、そんな…ことは」 「俺に触ってもらえるのを想像して、こんなことした?」  何度も指を抜き差しし、もう片方の手で陰嚢に触れた。まだ柔らかいそこを、優しく揉みほぐす。 「ふぁっ…、し、しませんっ…、だって…」 「だって、何だ?」 「そんな…いやらしいこと…自分でするより…戴智さん…に、してほし――」  言い終えないうちに、戴智は東にキスをした。あまりにも可愛くて、我慢ができなかった。  そのうち東も興奮して、戴智の上に覆いかぶさって唇をむさぼる。  戴智の上にまたがり、硬くそそり勃った戴智のペニスに手を添えると、東はゆっくりと腰を下ろした。 「あっ…あ…、戴智さ…」  東が腰を上下させながら、パジャマのボタンを一つずつ外す。全裸になると腰の動きが早くなった。東のペニスの先端が、濡れて輝いている。  戴智が東と両手をつなぎ、指を組んだ。 「前を触らず、アナルセックスだけでイッでみるか?」

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