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第51話

 東は戴智にキスをしながら、そそり勃った戴智のペニスを菊門に当て、ゆっくりと体を沈めた。  これからは、離れ離れになる心配はない。こうして毎日でも繋がれる。  精を吐き出したばかりなのに、東は萎えることがない。体をのけぞらせ、次の絶頂に向かって腰を上下させた。いくら射精しても足りない。欲望はどんどんこみ上げてくる。 「あ…愛してます…戴智さん…」 「俺もだ、東…もう一生、離さないからな」  戴智は自分の帯をほどいた。帯を東の首の後ろに引っかけ、グイッと引っ張る。『流鏑馬』スタイルだ。強く帯を引き、東の顔を引き寄せた。唇を重ね、互いの唾液を吸い、舌を絡ませる。吐息も熱も、何もかもを互いに取りこむ。  顔が離れ、荒い息を吐き、東は腰の動きを止めた。 「戴智さん…まだ…イカないで…。まだ…繋がっていたい…」  戴智が東の髪を撫でた。真冬だというのに、東の髪は少し汗ばんでいる。 「じゃあ、このままで、雪景色でも見ていようか」  雪見障子の、透かし彫りの間のガラスは少し曇っている。外の気温は三度ぐらいだろうか。それに反し、部屋の中は温かい。暖房がついている上に、二人の熱気で熱いぐらいだ。  それでも、曇ったガラス越しにも雪化粧は見てとれる。人の足が踏み入らない箱庭は、白く染まっている。沓脱石に、石灯籠。きれいに刈りこまれた植木も、鹿威しも。うっすらと白い化粧に包まれている。 「きれいですね…」 「寒くなければ」  戴智は東の乳首に触れる。 「あっ」 「雪の上で、お前を抱いてみたい。このいやらしい体に積もる雪は、きれいだろうな」  東は恥ずかしくなって、身をよじりながら反論する。 「い、いやらしかったら穢れているから、きれいじゃありませんよ」 「いや、違う」  もう片方の乳首をキュッとつまむ。 「あんっ」 「東はきれいだ。そのいやらしいところも、全部」  戴智の目は、もう雪景色を見ていない。乳首を触るごとに悶える東しか見ていなかった。  硬く尖った赤い実は、戴智の指でどんどん熟れていく。 「こうされることも、想像したんだよな」  戴智は両方の乳首を強く引っ張った。 「ああーっ、もっと…もっとして…!」  帯が引っ張られ、東の顔が引き寄せられた。赤く染まった耳に、戴智がささやく。 「はしたないな」  パンッ、と部屋に音が響く。戴智が東の尻を叩いた。妄想を再現され、恥ずかしさに東が悶える。 「はあっ、戴智さん…、もっと…いじめて…!」  結合部からはドロリと愛液があふれてきた。戴智が尻を叩くごとにじわじわと愛液は広がり、戴智の濃い茂みをしっとりと濡らす。  再び腰が動く。もう、絶頂まで止められない。戴智が帯を引く。東が戴智の目をじっと見た。息も絶え絶えで言葉が出てこないが、何を言いたいのかは戴智にもわかっている。  東が繋がったままでくるりと体勢を変え、戴智に背中を向けた。うなだれるように首を下げた。  “噛んでください”  二度と離れることのないように。番の証を、もう一度。  東のうなじを、戴智の舌が這う。かつて、結婚式の日に噛んだ同じ場所を、丁寧に舐める。 「いくぞ、東」  ガリッと、歯が肉に食いこんだ。 「うっ…ぐっ…」  その痛みは、甘く官能的だ。白い肌に血がにじむ。舌で血を舐め、癒やしてやる。番の二人は、絶頂に向かって腰を動かす。その振動で、雪見障子がガタガタと揺れる。 「東…愛してるっ」 「戴智さん…愛してますっ」  戴智の腕が、しっかりと東を抱きしめる。その戴智の左手に、東の左手が重なった。同じ指輪が光る手。カチリとプラチナ同士がぶつかった。 「も…もう…イクッ!」  ドクン、と東の中で弾けた戴智は、奥へ向かって精液を送る。 「戴智さん…僕も…」  一回目より薄い東の精液は、軽さがあるせいか、先ほどよりも遠くに飛んだ。 「…行儀の悪い子だな…。次のセックスは、お仕置きだぞ」  そんな意地悪な言葉でも嬉しく思い、東は首をひねって後ろを向く。 「戴智さんのお仕置きは、僕が喜ぶものばかりだから、大歓迎ですよ」  二人の唇が重なる。東からあふれる愛液はなかなか止まらない。 「やっぱり俺は」  少し萎え始めた東のサオを握り、戴智がつぶやく。 「同じ白でも、雪景色よりお前の肌をずっと見ていたい」  雪は、長い間会えなかった二人の慕情を表すように、深夜まで降り積もっていった。  ――――

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