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第24話【番外編】逃亡わんわん/逃げました。

『わんわん』が補佐となってから約一週間。 何故か生徒会室内では、役員たちがちょっぴり揉めていた。 「……遅せぇ、あいつらはまだ来ねーのか!?」 「慌てなくても直に来ますから少し落ち着いて下さい会長」 「は? しっかり落ち着いてるだろーが。生意気な口きいてんじゃねーぞ、一年!」 まだ放課後になったばかりだというのに、書記とわんわんの到着が遅いことに苛々する俺サマ会長。それを宥めているのはやや毒舌気味な、一年生庶務。 「でもやはり心配ですね、わんわん君。一昨日あんなことがあったばかりですし」 「絶対あれは会長が悪いよねー。おかしな校内放送とかするから全校生徒に追いかけられて。可哀相に、わんわん君よっぽど怖かったんだよー」 「は!? バカ犬(書記)が青い顔して『わんわん、何処にもいない……!』っつーから見かけた奴はいねぇか、わざわざ俺様が聞いてやったんじゃねーか」 不安そうに溜息を吐くのは通称『微笑みの王子様』こと副会長。そして不満げにむう、と口を尖らすチャラ男会計。 親切心から当然のことをしたまでだ、何が悪い。と胸を張る会長の言葉に対し あれのどこが「親切」だよ! というツッコミは口に出すだけ無駄な気がして、誰も反応しない。 かわりに会長含めこの場にいる全員が、一昨日の出来事を思い返すのだった。  *** 一昨日の放課後。 連日書記さまにべったり張り付かれ嫌気がさしていた、わんわん。書記親衛隊の目をかいくぐり奇跡的な逃亡に成功した彼は、数日ぶりに一人の時間を楽しんでいた。 本来なら寮の自室に隠れそのまま引きこもりたいところだが。 既に補佐就任一日目には書記さまが持つスペアキー(わんわんと同室の友人Aが渡したらしい)で難無く部屋への侵入を許してしまっている。 今ではむしろ危険地帯と言って良いだろう。 このため寮へは向かわずに校舎内を、それも人の少ない場所を選んで逃げ歩く。 たまにすれ違う生徒達からはチラチラと視線を感じるものの、もはや恒例行事と化した生徒会室内での行為……書記さまに抱きつかれ、ブラッシングやマッサージと言いながらあちこち、くすぐったり撫でられたり……にくらべたら何てことはない。 .

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