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第45話

え、嘘でしょだって親衛隊の人たちも 「隊長どんな化粧品使ってるのか知りたいよねー」 「肌とかすっごい綺麗だもんね、羨ましい」 「でも前に聞いたら使ってません、なんてはぐらかされちゃった」 とか言って……あ、何だ。 隊長さんは本当のこと話してたのに、皆信じなかったのか。 まあ無理もないよね。だってスッピンでこんなに美人(しかも多分、隠れ男前!)だなんて普通思わないし。 「ふふ、わんわん君って何だか本当に」 「へ。あッすみません俺また、あの?」 しまった。 目の前の隊長さんを無視してうっかり考え事に集中してたよ、俺。 ああもうっ、てか隊長さん怒ってる? 怒ってないよね、ふふって笑ってたし。 いや、でも頭きて逆に笑ったとか呆れ果てたとか。 え、どうしよう。 仕返しに今度から書記さまに抱きつかれて死にかけた時、助けてもらえなかったら。 「ぷ、く、っははアハハ、駄目だってもうそれ。わんわん君勘弁して!」 「えええ!? ちょっ、隊長さん何どうしたのッ?」 腹を抱えて笑い出す隊長さん。 どゆこと。俺今、何もしてなかったよね。 困惑する俺の頭(さっきチョップされたとこ)に手をのせる隊長さん。 うん? もしかしなくともこれ、頭撫でられてるのかな。気持ち良いー。 「ぷっ、ほらまた。さっきからわんわん君てば本物の犬みたいだよ。自分で分かっててやってるの、それ」 「い、犬?」 「そう犬。犬って例えばオモチャ遊びとか、何かに夢中になるとそのことで頭が一杯になって他が見えなくなったりするでしょ。ずーっとひたすらボールを噛んでたり、あぐあぐって。 だけど叱られたり、不機嫌そうな飼い主の顔を見た後は、慌ててチラチラ様子窺ったり泣きそうな目でじーっと見つめたり。ひどい時は凄く悲しげな声で本当にキュンキュン鳴き出すし。ぶんぶん振ってた尻尾も急に垂れて大人しくなっちゃうし」 「??」 「それで何だか可哀相に思えてきちゃってつい頭撫でたりすると、途端に今まで怒られてたことも全部忘れて大喜び。ちぎれそうなくらい尻尾振り回して、甘えてくるんだよね。もう本当に可愛い」 ……うん、この人めっちゃ犬好きですね。 すっごい楽しそうに犬のこと語ってるし。 いや、だけどそれが一体どうしたって言うんだろ。何か俺に関係あるの? .

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