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第84話 引っ越しわんわん(後編)/にぎやかご近所さん。
「ふむー! ふむむ、ふんむっ、むふー!」
「黙れこのクソ主(あるじ)様め、性懲りもなくわんわん君に手を出しやがって。今度こそはもう容赦しませんよ」
「現行犯だからな。野良が訴えるなら俺様が証人台に立ってやろう」
「大丈夫ですか? 無理はしないでくださいね、わんわん君」
「わんわん、お尻見せて確認させて! 見られるのが恥ずかしいなら指だけ、指だけ入れさせて!」
「あの、僕、切れ痔にも良く効く塗り薬を知ってますから。すぐ用意しますね」
…………。
すっかりお馴染みのこのパターン、皆さま改めましてお早うございます。そして助けに来てくれてありがとうっ。
あの後。
半裸の書記さまを俺から引っ剥がし拘束すると、直ぐ様バスルームを出ていった皆さま。
その間に俺も脱がされたパジャマを着直して部屋に戻ったら。
ちょっと何言ってるのか分かんないなー。特にチャラ男会計さまと庶務さま。
痔じゃないから薬要らないし、これ以上俺の尻見てどーするの。いや、見せませんから。
てか何で指? 入れるってどこにだ。
恥ずかしいなら、ってむしろハードル上がってない!?
思わず「ひいっ」と悲鳴をあげ、両手でお尻を隠し後ずさる。
指をくねくねさせて近寄ろうとする鼻息の荒い会計さま――の頭を、会長さまが叩いて止めてくれました。
「だって確認しなきゃ」「中出しの証拠が」「わんわんの処女!」
とか騒いでたけど、俺男だからね会計さま。男に処女って絶対意味おかしいよね。
とりあえず
皆さまが心配してるような体の不調や痛みは無いですよ。だから隊長さんは、去勢手術の手配を今すぐ止めて!?
「待てよ、処女の筈なのに痛くないってことは。ハッ、まさか、わんわんがワンコ書記に入れ――」
「うるせえ、お前本気で退学にさせんぞ!」
「そ、そんなっ先輩……」
恒例の会計&会長さまによる掛け合い漫才には突っ込みません。
一瞬青ざめた庶務さまが俺と書記さまを見比べた後、もう一度俺(の股間)を見てあからさまに安心したのは何故だ。
そして残念なことに
「わんわん君すみません、ここの扉も修理しますので」
と隊長さんに言われ、シャワーが使えなくなった。うーん、どうしよう。直るまで待つ? 前の部屋へ借りに行く?
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