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第1話 ~出会い編~

西塔蒼真(さいとうそうま)は、2年になったばかりのほどほど真面目な男子高校生だ。 顔も正統派イケメンで背も高いとあって女子にはモテるが、奥手な不器用男子。 その為、彼女いない歴=年齢というやつだ。 なので、部活に精を出していた。 そんな蒼真は先日大会が行われた影響で久し振りの部活休みに、こうして誘われて友人宅へと遊びに向かっているわけだ。 友人の来栖慎(くるすしん)は、高校2年に入ってからクラスで仲良くなった。 決して悪いヤツでは無いのだが、自由奔放な性格で蒼真はたま~に振り回されていた。 ピンポーン♪ 普通な住宅街にある普通な一軒家。 表札には『来栖』とある。 間違いない。 チャイムを鳴らして暫くしても誰も出ない。 「?」 ピンポーン…ピンポーン…ピンポンピンポン、ピン ガチャッ 居るではないか。 蒼真が若干眉間に皺を寄せて、相方に文句を言おうと思ったら知らない人物が顔を出した。 誰? 「…どちらさま?」 相手もキョトンと蒼真を見上げていた。 通された部屋は二階にある小綺麗なサッパリした6畳間。 何故この部屋? どう見ても慎の部屋ではなく、彼の部屋だった。 棚には小難しそうな大学関連の物と思われる本が…。 「はい、お茶~どうぞ~」 「どうも…」 相手は逢坂真生(くるすまお)と言うらしい。 慎の兄と名乗った。 顔は慎とあまり似ていない。 男に美人というのも違うかもしれないが、先日告白してきた学内で有名な美人上級生よりも妖艶?な雰囲気がある。 第一に、格好がヤバイ。 純白のボタン、もう少し止めた方がいいのでは? 白い胸元が見えそうで見えないとか…。 カーゴパンツから覗く膝下の白く細い足も同じ男とは思えない。 クラスの女子よりも下手したら細いかもしれないのだ。 真面目な蒼真も一応は思春期男子。 ちょっとドキドキソワソワしてしまう。 相手は男。相手は男だぞーっ! 心の中で叫んでみたり。 「慎は~買い物に出てるの…。だから、待ってねぇ」 妙な間延びした物言いも真生だと気にならない。 それにしても変わった人だ。 「あ、はい。コレ良かったら…」 「?…わぁ~、ありがとう」 ドキッ! 蒼真が手土産を渡すと、綺麗な笑顔に似合った声でお礼を返された。 相手は男っ! それにしても慎のヤツ、コンビニにでも買い出しか? 前もって準備しとけよな。 いや、連絡くれたら俺がついでに買ってきたのに。 「え?」 なんて思っていた蒼真は、次に驚いて隣を見た。 コレは一体何でしょうか? 妖艶兄・真生が隣に座ったかと思うと肩と肩が触れ合った。 じ~っ 視線を感じる、視線を…! 間近で見詰められ、蒼真はダラダラと内心汗をかいていた。 何でこんなに見られてるの? 「あの…離れて貰えますか…?」 「ん~、何でぇ?」 「何でって、それは…」 ポテッと肩に掛かる重さ。 真生の小さな頭が乗せられている。 ゴクッと生唾を飲む。 男のくせに良い匂いがするとか、反則ではないだろうか。 初めて会った相手に、この人は何故ここまで密着出来るのか。 そして、何故無駄に…可愛いのか…。 オレ、この思考…もしかしてヤバイ? この不思議な状況と自分のヤバイ思考に、慎の早い帰宅を心から願う蒼真なのだった。

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