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第6話 ~思い浮かぶのはアナタ編~

チュンチュンと鳴く雀の声に、真生は目を覚ました。 時計を確認すれば、普段起きる時間より少し早かったが、そのまま体を起こす。 いつもなら二度寝するところだが、今日は寝る気持ちにならなかったからだ。 くあぁぁ…とアクビをひとつして目を擦ると、ベッドから降りた。 何時ものように着替えて階下に下りて、顔を洗って口を濯ぐぎ、寝癖を整えるとリビングへ顔を出す。 「お兄ちゃん、おはよう。今日は早いのねぇ」 「おはよ~」 母親に言われて間延びした返事で挨拶を交わすと、テーブルについていた父親とも挨拶をしてから食事を始める。 「慎ったら、まだ寝てるのかしら?」 そんな風に母親が溢すと、まるでタイミングを図ったように慎が顔を出した。 「おはよーっ」 それから真生の横に座ると、箸を手にしてパクパクと勢いよく食べ始めた。 朝から凄い食欲だ。 だからこんなにも大きく育つのだろう。 自分とは全く違う弟に、マジマジと視線を送りながら真生はふと思った。 昨日の彼…蒼真くんっていったっけ? あの子も大きかったなぁ…。 慎もそれなりに身長があるが、蒼真には逞しさもあった。 なんだか触れてみたくて肩を寄せてみて、安心感を覚えてしまう位に。 そうなると真生は蒼真に、居心地の良さを感じてしまった。 しかし、どうして自分は蒼真に対してあんなことをしたのだろうか? 真生は自分で言うのもなんだが、人と関わるのが得意でない。 それなのに…。 そこは大きな疑問点だ。 コテリと首を傾げる。 そのまま考えてみたが何も分からず、真生は諦めた。 深く考えない質なのだ。 「うーん…」 また会ったら分かるかもしれない。 「ねぇ、慎」 「何、アニキ?」 味噌汁をズズズと飲みながら慎が、返事をする。 「蒼真くんに会いたい」 「ブフーッ‼」 兄の唐突な言葉に、思わず味噌汁を吹き出してしまった慎だった。

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