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第7話 ~会いに来ました!純情編~
大学生も暇なワケじゃない。
それなりに忙しい日々を送ってるワケで。
そんな忙しい中を真生はやって来ていた。
「兄貴…マジかよ」
「ん~マジだよ?」
天然あざとさ全開で、真生は首を傾げた。
隠しきれない美人顔と、そこはかとなく流れ出るフェロモンに、校門を潜り抜けていく生徒がポカンと口を開けて見ていく。
「さぁ、慎。僕を案内してくれる?」
いつになく力の籠った兄の声に、溜め息をつく慎だった。
何故だか気になった弟の友だち、蒼真くん。
得体の知れないこの感情は何なのか?
自然と側に寄りたいと思った。
「…蒼真くん」
その彼に会いたいが為に、真生は高校までやって来ていた。
かくいう真生は、ここの卒業生。
不審者じゃありません。
ということで、真生は職員室に顔を出した。
知ってる先生が多く残っていて、男性職員にはベタベタと構われたが慣れている。
逆に慎が慌てて回収するハメになってしまった。
「兄貴、しっかりしてくれよ~‼」
「何言ってるの~?僕はしっかりしてるよぉ?」
しっかりしているのは本当だが、それは勉強に関してだけだ。
他は、というか他人からの思いにはてんで鈍感でダメなので、今までどれだけ苦労してきたことか。
「ほら、兄貴。こっち」
放課後の高校をソワソワする心を落ち着かせながら、真生は弟の背中を追った。
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