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アレクがほしいプレゼント。 それは、ずっと…ずうっと欲しいと思っていたこと。 『おいら…』 『教えて、アレク』 『…………ほんとうに、言っていいの?』 『うん』 微笑むアルフリートを見上げると、さっき掻き分けてきた紗がフワリと舞い降りてきた。 『あ…』 繊細な縫い取りが施されたそれは、花嫁が纏うヴェールのようだ。 『にいたん』 『にいたん』 『え…?』 掻き寄せた上着をアルフリートがそうっと開くと、仔狼が二人いた。 『………っ、あっ、あ…!』 逆巻く。 全身の血が。 ほしくて、欲しくて、堪らなかった。 『にぃたん』 『にいたん』 リカルドの色を受け継いだ仔と、アルフリートの色を受け継いだ仔らがアレクに抱きつく。 『おいら…っ、おいら…っ!』 『言って。アレク。 わたしの大事な宝物』 『………っ!』 『命の繋がりと奇跡は、想いの強さが引き寄せるの。 その気持ち、ちゃんと伝えるのよ』 『………っ!』 アルフリートの瞳の色が変わっている。 命を生み出す朝焼けと生まれたての空の色に。 『命の奇跡は、アレクの想いの強さが引き寄せるわ』 『おか…さん…?』 『ふふ…』 ゆっくり、瞳の色がアルフリートの色に変わっていく。 『アレクの想い…。 僕にもつたえてね』 『………っ!』 風に舞う沢山の花びらが、空へと舞い上がる。 背中を後押しされた気持ちで、アレクは大きくうなずいた。

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