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◆◇◆
『………?』
ふわふわと漂う紗のようなヴェール。
それをかきわけるように進んでいくと、いつもの中庭にアルフリートがいた。
隣にはリカルドもいる。
『リィ!』
『アレク、何処へ行っていたの?』
『んん…?よく分かんない』
『そう…?』
『早くおいで』
ニコニコと微笑む二人の間に座る。
『アレク。
お誕生日のプレゼント、決まった?』
『え、えう…』
『父さんは何を用意しようかな…』
『う~ん』
アレクは悩む。
いや、欲しいものは決まっているが、それを言ってもよいのか悩んでいたのだ。
『教えて、アレク。
僕に出来ることなら、叶えてあげたいな』
鼻先でアレクの額をうりうりしながら、アルフリートは微笑む。
『おいら…、おいら…』
『ん…。教えて、アレク』
長い睫毛に縁取られたダイクロイックの瞳。
『教えて。
プレゼントは何がいいの?』
『おいら…っ』
欲しいのは…。
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