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「今の…?」 「ん?これか?」 ふわ。 優しく触れたのは睫毛。 「バタフライキスってやつ」 「…バタ…?」 「睫毛で触れるキス。 本当に触れたら、堪えきれなくなるから」 「……?」 「まさか、昨日の事を夢だと思ったりしてないよな」 「………!?」 夢ではない? 嘘でも…? 「夢じゃないぞ、アルフリート」 「え、あ、あ…っ」 恥ずかしくて、顔が熱い。 そんなアルフリートに、リカルドは微笑む。 「いっぱい話そう、アル。 お互いの気持ちも、これからの事も」 「……いいの?本当に僕で…本当に?」 「アルフリートじゃなきゃ意味がない」 「う、……」 零れる涙を、リカルドはそうっと吸い取ってくれる。 ひと粒、ひと粒、優しく。 「いっぱい話そう。 アレクの事も、気になってるアンブローシャの事も」 「……っ」 「アンブローシャの居場所を奪いたくなくて、ずうっと遠慮してたんだって聞いた。 医務官になれなかった事を心苦しく思ってたのも」 「………誰、から…?」 「ん? 宰相さまから、な。 朝方様子を見に来てて。 アルフリートの想いが叶って良かったって言ってた」 「………っ」 「好きな気持ちは隠してちゃダメだ。 ちゃんと伝えて捕まえておいてくれって。 ずっと、それを言ったら…アルが困ると思って言えなかったんだ。ごめんな」 「う、ううん。 リカルドは悪くないんだよ。 僕が言えないままだったから、だから…」 「謝るのは、もう無しにしよう。 これからは、アルがアレクを沢山甘やかせるようにしたい」 「ん…」 「これも」 「ひゃ…っ」 鼻先で額をうりうりされる。 猫族の信愛の証。 「アレクにだけじゃなく、俺にもしてくれるよな?」 「………う、うん…っ」 「少しずつ、自然にできるようになっていこう」 「うん…っ」 チュ。 額に一つ、口づけが落ちる。 漸く二人の想いが通いあったのだった。

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