24 / 26
・
「今の…?」
「ん?これか?」
ふわ。
優しく触れたのは睫毛。
「バタフライキスってやつ」
「…バタ…?」
「睫毛で触れるキス。
本当に触れたら、堪えきれなくなるから」
「……?」
「まさか、昨日の事を夢だと思ったりしてないよな」
「………!?」
夢ではない?
嘘でも…?
「夢じゃないぞ、アルフリート」
「え、あ、あ…っ」
恥ずかしくて、顔が熱い。
そんなアルフリートに、リカルドは微笑む。
「いっぱい話そう、アル。
お互いの気持ちも、これからの事も」
「……いいの?本当に僕で…本当に?」
「アルフリートじゃなきゃ意味がない」
「う、……」
零れる涙を、リカルドはそうっと吸い取ってくれる。
ひと粒、ひと粒、優しく。
「いっぱい話そう。
アレクの事も、気になってるアンブローシャの事も」
「……っ」
「アンブローシャの居場所を奪いたくなくて、ずうっと遠慮してたんだって聞いた。
医務官になれなかった事を心苦しく思ってたのも」
「………誰、から…?」
「ん?
宰相さまから、な。
朝方様子を見に来てて。
アルフリートの想いが叶って良かったって言ってた」
「………っ」
「好きな気持ちは隠してちゃダメだ。
ちゃんと伝えて捕まえておいてくれって。
ずっと、それを言ったら…アルが困ると思って言えなかったんだ。ごめんな」
「う、ううん。
リカルドは悪くないんだよ。
僕が言えないままだったから、だから…」
「謝るのは、もう無しにしよう。
これからは、アルがアレクを沢山甘やかせるようにしたい」
「ん…」
「これも」
「ひゃ…っ」
鼻先で額をうりうりされる。
猫族の信愛の証。
「アレクにだけじゃなく、俺にもしてくれるよな?」
「………う、うん…っ」
「少しずつ、自然にできるようになっていこう」
「うん…っ」
チュ。
額に一つ、口づけが落ちる。
漸く二人の想いが通いあったのだった。
ともだちにシェアしよう!