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アレクが誕生日に欲しがっていた家族の約束は、程なく果たされる。 翌月、故郷の村に三人で里帰りをして。 アンブローシャの墓前にアレクの成長と、二人の婚約の報告をした。 両家の家族全員が二人の事を祝福してくれて、アルフリートは漸く心の奥にあった重い重い荷物を下ろすことになる。 ささやかな結婚式を挙げるにあたり、立会人に名乗りを上げたのは宰相で。 両家の家族だけではなく、商店街の皆さんも驚いたのは言うまでもない。 そして。 男子の懐妊はかなり確率が低いとされていたが…。 翌年。 アルフリートとアンブローシャだけではなく、リカルドとアレクの瞳の色も仲良く分け合った銀狼と白狼の双子が誕生する。 リカルドの勇敢さと、アンブローシャの面差しと、アルフリートの知恵を双子が引き継いでいたことに、大人たちは驚きを隠せなかったが、アレクだけは命の不思議を普通のことと受け止めていた。 想いの強さが命の不思議を呼ぶのだからと。 命の不思議はその後も続く。 白猫の双子、銀猫の三つ子、銀狼の双子と、子宝に恵まれるのだ。 アルフリートにくっついてばかりだったアレクは、弟妹を可愛がりつつ日々の勉学にも励み…。 十歳になる頃には、念願だった王立アカデミーの医務官養成クラスに進む事になる。 双子達も数年後に武官と文官養成クラスに進んでいき、その後の子らも上級職の養成クラスへ進学していく。 実子達だけではなく、託児所や工房、併設の幼年学校から巣だった者それぞれが要職に就くようになっていくのだが、それはまた別のお話で…。 お・し・ま・い。

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