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千尋とお風呂と高槻先輩2[side 高槻]
[side 高槻]
ようやく部屋に帰ってこれた。
……疲れたな。
親衛隊の制裁が噂されていて、風紀もピリピリしていた。
理由が理由なだけに、バカバカしいことだが、放っておくわけにもいかない。
「はぁ……」
ため息をついて、キッチンで水を飲む。
そしたら、後ろから楽しげな鼻歌が聞こえてきた。
「千尋?……ッッ!?」
バスルームからリビングへ、上機嫌の千尋が歩いてきた。
頭にタオルを被り、ボクサーパンツ1枚で。
「あ。高槻先輩、おかえりなさい」
俺に気付いて、千尋はこっちを向いた。
───待て待て待て!その格好はいかん!
「千尋! 服を着なさい!!」
思わず怒鳴ってしまった。
「あ! ごめんなさい!! 気持ち悪いですよね」
「は?」
気持ち悪くなんか……そこでやっと気付く。千尋の胸には、大きな手術の痕があった。
今は俺に背を向けている。俺が手術痕を気持ち悪く感じたと思ったようだ。
違う!!
傷つけてしまったかもしれない、と俺は焦った。
「違うぞ! 千尋!」
「あっ」
千尋の腕を掴んで、強引に振り向かせた。
その拍子にタオルが床に落ちた。
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