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千尋とひらパー兄さん3

部屋に戻ったら、リビングのソファに座って、高槻先輩の説教タイムが始まった。 高槻仏陀のお説法、すっかり慣れてきてしまったな。 「千尋。夜に男の部屋に一人で行ったら駄目だ。昼でも駄目だが」 「いや、あの~……高槻先輩。ちょっと聞きたいんですが」 俺は思いきって、ずっと気になっていたことを聞いてみた。 「枚方さんのこともだけど。なんか、よく危ないとか言うじゃないですか? 何が危ないんですか?」 高槻先輩が苦い顔をした。 「……千尋。ここは男子校だ」 「はい」 「その上、全寮制だ」 「ですね」 「だから、ここでは男同志で付き合ってる奴が多いんだ」 「ですよね……はぁ!?」 いかん。高槻先輩がさらっと言うから、ですよね~って言いかけちまった。 「当人同士が合意なら問題はない。だが、中には無理やりにでも手を出す奴もいるんだ」 「ええ!?」 「特に、千尋。お前みたいな華奢な美形は狙われやすい」 「マジすかっ!?」 「だから、登下校は俺が一緒にいたんだ。牽制になるからな。寮長の枚方も、相手を見てセクハラまがいのスキンシップをすると聞いている。だから、気をつけろ。お前は無防備すぎる……」 高槻先輩は、はぁ~とため息を吐いた。 ひらパー兄さんがセクハラって……。 俺はハッとする。 あの保健室での出来事は、もしやこの学園では珍しいことでも何でもないのでは…… そして、ゾッとした。 助けて小林! 事件です。 俺はホモの巣窟の学園に来てしまったらしい。

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