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千尋と変装とエロ本2

俺は園田の部屋を出て、自分の部屋に戻った。 とりあえず着替えだ。 黒のパンツに黒のTシャツ。 グレーのパーカーを羽織って、フードを被った。 で、マスクを着けた。 変装道具なんて持ってないしね。 でも、ちょっと怪しいかな? まあ風邪気味の人に見えなくもないかぁ。 俺はこの格好でエレベーターに乗って、一階に降りた。 エントランスを通った途端に 「あれ? 有栖川、どこ行くの?」 マジか!! 瞬殺でバレた! ひらパー兄さんだ。 「あ。枚方さん。こんばんは」 「ばんはー……どした?その格好。怪しいぞ?」 「な、んでもないです! じゃっ!」 ガシッと手首を掴まれた。 「んー。なんか変だね」 「やだなぁ。普通ですよ!」 「嘘つけ。有栖川。なんかあったのか?」 くそっ。ひらパー兄さん、ゆるいようで目敏いよ。 「離してください」 「ダメ。有栖川こそ、正直に話してごらんよ」 くっそ! かくなる上は…… 「……エロ本」 「は?」 「エロ本、買いに行きたいので、離してくださいっ」 「えっ!?」 秘技! バカのフリだっ!! ひらパー兄さんの手が緩んだ。 よっしゃ! 今のうちに…… ガバッ! 「なに!?」 緩んだのも束の間。 今度は後ろからガバっと抱き込まれた。 「……有栖川。お前、そんな可愛い顔して、エロ本欲しいの?」 「はい。欲しいので、離してください」 「……俺の部屋にエッチなDVDあるから、おいで」 なにぃ!? ちょっと気になるが、今は平野が優先だ。 「いえ。いいです」 「巨乳からギャル系まであるよ?」 「ギャ……う。や、やっぱり、いいです。」 「いいから! お兄さんの部屋においで。有栖川」 な、なんか背後のひらパー兄さんの息が荒いんですけどー!! 御免! ガツッ!! 「イテッ!」 俺はひらパー兄さんの脛を思いきり蹴った。 「ごめんなさい! また今度」 蹲るひらパー兄さんを尻目に、俺は寮を走って出た。

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