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千尋と平野1

「おじゃましま~す」 俺は平野の部屋に入った。俺の部屋よりもちょっと狭い。 寮の建物が違うのは、この為だった。 学生寮は3つの建物に別れていた。 クラスのランク分け同様に部屋にもランクがあるんだって。 生徒会の連中なんて、ひとり部屋でめっちゃ豪華らしい。むかつくわぁ。 「あ、座って」 平野に勧められて、ダイニングの椅子に座ると、お茶を出してくれた。 いい子なんだよなぁ……と、しみじみ思う。 さて本題だ。 「なぁ、同室者ってどんな奴なんだ? ボサボサ頭でメガネって聞いたけど」 「……あ、見た目はその通りだよ。でも、話すとすごく知的というか、頭がいいんだ。なんでEクラスなのか不思議なくらい」 平野がちょっとずつ話し始めた。 「桜ノ宮くんと同室になったばかりの頃は、とても楽しかったんだ」 桜ノ宮 桜真(さくらのみや さくま) このマンガみたいな名前の奴が、噂の問題児らしい。

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