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千尋と族潰し1

なんだか和んだ雰囲気だったので、俺は昼間の園田の噂話の真相を聞くなら今かなと思った。 「委員長。族潰しだったってホントですか?」 シーン。 あれっ? 聞いたらヤバかった!? 「………うっ」 「う?」 三人がドッと笑いだした。 「ぶはっ! それっ、本人に聞く!?」 「ふふ。委員長にそれ聞いた奴、初めてだよ」 「ハッ! 姫、お前天然か?」 高槻先輩だけ、ちょっと困った顔してる。 「………えっと」 俺は頭をポリポリ掻いた。 みんな笑いすぎだ。そんなに変だった? 「んなの、噂だ。噂」と、委員長。 「これこの通り、委員長ってコワモテでしょう」と、副委員長。 「実際、鉄拳制裁してるしね~」と、中津先輩。 「違反をした生徒には容赦しないから、委員長をはじめ風紀委員を怖がってる生徒も多いんだ。だが、委員長は族潰しなんかじゃないぞ」と、高槻先輩。 そういや美村も園田もビビってたよな。 確かに委員長は、ぱっと見怖いかも。 ガタイもいいし、高校生のくせに迫力あるし。 「委員長もムエタイかなんかやってるんですか? 高槻先輩の罰ゲームキック凄かったですよ! スパーンてやつ」 「罰ゲームキック?」 「あれですよ。年末の『笑ってはいけない24時間』で。『デデーン! 田中・タイキック~』でタイ人がケツ蹴るやつ。高槻先輩、テレビのまんまでしたよ!」 また委員長がゲラゲラ笑いだした。 「お前、お笑い好きなのか?」 「まぁ、好きですかね」 「………千尋。もう、やめてくれ」 高槻先輩が額に手のひらを当てて項垂れた。

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