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千尋と御影委員長4[side 御影]

俺は写真を片付けて、また姫の隣に座った。 「お前、体鍛えたいのか?」 「もちろんですよ! 背だって伸ばしたいし!」 いや、鍛えたから身長伸びる訳じゃないと思うが。 俺はマジマジと姫の顔を見る。 艶のある長めの黒髪。潤んだ黒い瞳。きめ細かな肌。薄く色付いた唇。 次の抱きたいランキングぶっちぎりの1位になるだろう。 高槻が番犬してなけりゃ、とっくに親衛隊ができているはずだ。 もっと楽な生き方もできるのに。 この学園の、所謂『美少年』どもは、その容姿を利用して、けっこう美味しい思いをしている。 こいつが可愛く『お願い』すりゃあ何でもやるって奴がわんさか出てくるだろうに。 だが「守ってもらう必要はない。自分でなんとかする」と、華奢な体で強がるこいつだから、高槻も放っておけないのだろう。 姫は悔しそうな顔をしている。 顔に似合わず、性格が男だ。 「だったら、学園のトレーニングルーム使えばいいじゃねぇか」 「えっ?」 「ランク上位の生徒限定だが、お前なら問題無い。トレッドミルもあるから、わざわざウォーキングに出る必要ないぞ」 「ほんとですか!?」 「ああ。俺が申請しといてやる」 「ありがとうございます!」 姫がニカッと笑って俺を見た。やっぱり笑ってる方がいい。 「だから、高槻と仲直りしろ」 「あ………」 「高槻も過保護すぎるが、そもそも嘘をついたお前が悪い。あの写真を見ただろう。気をつけるに越したことはないんだ」 「はい」 しょげた顔も可愛いなと思いながら、ちょっとしょんぼりした姫の頭をくしゃりと撫でた。

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