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千尋と御影委員長3[side 御影]

写真には裸に剥かれた可愛らしい顔をした少年が泣きながら写っていた。 何枚も。 「な、んだよ!? これ……!?」 姫が顔色を無くして聞いてきた。 「暴行はされていない。写真だけだ」 中には脚を開かされ、恥ずかしい場所が丸見えのものまである。 「親衛隊の中での『お仕置き』みたいなもんだ。新入りの1年坊主がでしゃばったから、恥ずかしい写真を撮って脅してたんだよ」 「生徒会の………」 「いや、違う。三年の人気のある生徒の親衛隊だ。この写真を回収したのは昨日だ」 「えっ!?」 「高槻がお前を過剰に心配した理由は分かるな」 「………」 今、この学園はおかしな方向に行きつつある。 1年前の『事件』で、どの親衛隊も『制裁』そのものを自粛して、何かあれば風紀を真ん中に置いて話し合いで解決するようになっていた。 だが、今は……… 「生徒会親衛隊だけじゃなく、制裁は正義だ。それでこそ親衛隊だという空気が出来上がってきてるんだよ。陰で誘導し、煽ってる奴がいる」 姫がハッと顔を上げた。 「桜ノ宮のことですか?」 「………証拠は無い。だが、お前は桜ノ宮に関わるな」 あいつは胡散臭い。感情や腹の内が読めない。薄気味悪い奴だ。 今だって、外出届けを出して一週間も外で何をしているのやら。 「だったら、余計に俺より平野が危ないじゃないですか!」 俺は苦笑した。この写真を見ても、自分より平野の心配か。 「平野は大丈夫だ。信用しろ」 「………」 「ほら。なんたって俺は『族潰し』らしいからな。頼もしいだろうが」 「どこがだよ」 やっと姫が笑った。 やっぱり笑った顔が一番可愛いかった。

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