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千尋と御影委員長2[side 御影]
風紀室に着いて、ソファに姫を座らせた。
「で、何があったんだ?」
「………」
俺は姫の隣に座って、指先で腫れた目元をなぞった。
「お前、泣いただろ」
姫は嫌そうに体をよじって逃げた。
ヤバイな、こいつは。
嫌そうな顔が、ある種の男をそそる雰囲気を持っている。
俺は高槻ほど真面目じゃないから、この学園に割り切った関係のセフレがいる。
男同士の快楽も知っているから、無防備なこいつが余計に心配になる。
「お前ら同室なんだから、嫌でも顔合わすだろうが。俺に話してスッキリしとけ」
ジト目で俺を見ていたが、しぶしぶ姫が話しはじめた。
話を聞き終えて
「あの高槻がねぇ………」
俺はぼそりと呟いた。
「あんな言い方、ないと思う。俺だって男だし、好きでこの体になったんじゃない」
俺が驚いたのは、高槻が姫を力ずくで押さえ込んだことよりも、「守らせてくれ」って言ったことだ。
あいつは真面目で硬派だ。本気で言ったんだろう。
姫はまだ拗ねた顔をしている。
「………」
俺は立ち上がって、引き出しから写真を出した。
そして、応接セットのテーブルにその写真を放った。
「なっ!?」
写真を見た姫が凍り付いた。
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