106 / 306

千尋と御影委員長1[side 御影]

[side 御影] 「なんだなんだ。お通夜かよ」 今朝も俺はいつものように、高槻の部屋まで行きコーヒーを飲んでいた。 ………が、空気がお通夜だ。 高槻は珍しくしょげまくっているし、お姫様は拗ねたようにブスくれている。 まぁ、そんな顔も可愛いが。 泣いたな。 目が赤くなって、少し目元が腫れぼったい。 「何かあったのか?」 「なんでもないです」 高槻が答える前に、姫がばっさり言った。また高槻がしょんぼりしている。 おいおい。痴話ゲンカかよ。 俺はため息をついて、コーヒーを飲んだ。 この日、登校中も二人は一言も喋らなかった。 俺達のクラスは階が違うので、エレベーターで順々に降りて別れたが、俺は階段で降りて1-Bの教室を目指した。 「有栖川くん。どうしたの!?」 「アリスちゃん。何かあったの?」 教室ではクラスメイトが姫に心配げに聞いていた。 「あ!」 俺が一年の教室に入っていくと、教室にいる生徒連中がピシリと固まった。 「?………あ!」 不審げに振り返った姫が、俺を見て目を見開いた。 「ちょっと来い。一限目はサボりだ。おい。お前、教師に伝えとけ」 クラスメイトに言って、姫の腕を掴んで連れ出した。 「あんた! なに勝手に………!」 「風紀の特権だ」 俺は姫を連れて、風紀室を目指した。

ともだちにシェアしよう!