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キスマークと新たなキスマーク2
俺は高槻先輩と一緒に寮に帰った。
一人で帰れるっていつもなら言うけど、さすがに今日は大人しく高槻先輩について歩いた。
ドアを開けて、先に靴を脱いで上がった。高槻先輩は授業があるし、
「高槻先輩、ありがとうござ………」
お礼を言おうと返った瞬間に、ぎゅっと抱きしめられた。
「えっ!?」
高槻先輩の唇が、俺の首筋に触れた。
「………ッ!」
キツく吸われて、ビクリとした。嫌だ! どうして!?
逃れようと、抱っこを嫌がる猫みたいに体を反らすけど、強く抱きしめられて、高槻先輩の唇が追ってくる。
「嫌だ!い、やだってば、なんでっ………あ」
やばい!!
ゾクゾクする。これって………
俺、ちょっと気持ちよくなってんじゃないか!?
「あ、あ、ちょっと………ひゃ、あ、う!」
ウォーキングがバレた時、押さえつけられたのと同じ場所で、また高槻先輩に押さえつけられている。
しかも、今度は首筋に吸い付かれて。
「や、めろよぉ!」
膝がガクガクする。腰が震える。耳の裏がゾクゾクする。
やばいやばい!!
反応しちゃいそうになった寸前に、高槻先輩の唇が離れた。
俺はずるずると、その場にへたり込んだ。
俺の肩を抱いたまま、高槻先輩も向かい合ってしゃがんだ。
「………高槻先輩まで、ペナルティかよ」
「千尋?」
「あー、はいはい。分かりましたよ。俺が非力なのも、ホモに狙われるって自覚が足りないのも!」
「千………」
「うるさい!! もう十分だって!」
ストレスマックスに達した俺は─────ついにキレた。
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