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高槻先輩とトム・ヤム・クン1

部屋に鍵をかけて、俺はベッドにダイブした。 なんなんだよ。半日で野郎三人にキスされるって、おかしいだろ。 許容範囲超えだ。 ………それに。 さっき、高槻先輩に吸い付かれた時。ちょっと、ゾクっとしたというか……… ぶっちゃけ、感じそうになった。 それがすげぇ情けないやら恥ずかしいやら。 「はぁ………もう、なんなんだよ」 ああ、ビール飲みたい。無理か。高校生だし。 とりあえず、今日は学校サボりだからと、俺は制服を脱いで部屋着に着替えた。 ふて寝してやる………と思ったが。 高槻先輩が出て行った音はしてない。もしかして、まだいんのかな? ウォーキングが見つかって押さえ込まれた時、冷静に戻った高槻先輩はちょっとかわいそうなくらいションボリしていた。 1仏陀の意味が分かったよ。あの人、冷静なようで勢いでダーッといっちゃうタイプだ。 で、後から後悔する。 俺はため息を吐いて、部屋のドアを開けた。 ドアの向かいに、立てた膝に顔を埋めて高槻先輩が座り込んでいた。 ハッと顔を上げて俺を見る。 「千尋! さっきは」 「ジンジャーエール買ってきて」 「えっ?」 ビール代わりの炭酸が飲みたい。 「ジンジャーエールとピザポテトとカントリーマアム買ってきて」 高槻先輩がキョトンとしている。普段と違うちょっとマヌケな顔が、年相応で可愛かった。 「ほら! ダッシュ!」 「わ、分かった!」 高槻先輩は慌てて部屋を出て行った。

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