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生徒会長とブラックサンダー紅茶味[side 西大路]

[side 西大路] 俺が生徒会室に戻ってきたら、アホ会計がいた。 「何やってんだ? てめぇ」 俺が睨みつけると、難波はへらっと笑って舌を出した。 「ちょっとヤボ用。すぐ出ていくよ」 「さっさと出ていけ」 もともといけ好かない奴だったが、今では顔を見るのもムカつく。 「あ、そうそう。桜真が木曜日に戻ってくるって」 「………」 すれ違いざまにそう言って、アホ会計は出て行った。 ─────桜真。 俺は苦い気持ちになる。何をしても………桜真は心の奥底では俺を許さない。 重いため息をついて、ふと見るとブラックサンダーの包み紙が落ちていた。 「あのアホ会計! 俺のブラックサンダー食いやがったな!」 俺はますますイライラして、包み紙をゴミ箱に放った。ふと会計のパソコンを見ると、珍しく電源が入ったままだ。 何を見てやがったんだ? 俺はマウスを動かす。画面が明るくなった。 「こいつは………」 『1-B 有栖川千尋』 少し緊張した面持ちの写真だったが、綺麗な顔をした少年だ。 「千尋………眠り姫か!」 ああ、これは噂になるはずだ。美形が多いこの学園でも、ずば抜けてる。 アホ会計の奴。眠り姫に手ぇ出そうって気か。 「………」 まぁ、俺には関係ない。 俺は会計のパソコンの電源を落とした。 今からもうひと頑張りだが、小腹が減った。アホ会計が食っちまったからな。 実は今、ブラックサンダーの紅茶味にハマってる。 俺はコンビニまでブラックサンダーを買いに行くことにして、生徒会室を出た。

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