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千尋と園田と金髪変態男1[side 園田]
[side 園田]
僕は漫画みたいにダダッと走り去った。
でも体力無いから、ちょっと走ったところでゼェハァ言って立ち止まっちゃった。
「そのだ~!」
有栖川くんの声だ。僕はガサガサっと茂みの中に隠れた。
………何やってんだろ。
有栖川くんは悪くない。
僕が勝手に拗ねてるだけ。
だって………だって学園生活始まって以来の大イベントだったんだよ!
やつあたりだって分かってるけど、やっぱり悔しくて。
「園田………ぎゃあ!?」
「!?」
ゴキブリを見たみたいな有栖川くんの叫び声に、僕はそっと様子を伺う。
あ! 瀧山副会長さまだ。
「また出たな。金髪変態男!」
あああ有栖川くん、何てことを!
「昨日はよくも恥をかかせてくれたね」
副会長が地を這うような低い声で言った。怖い! 整った顔をしてるだけに、怖すぎ!
「お、俺のせいじゃないし。でも、つい心の声が出て変態って人前で言っちゃったことはごめんなさい」
有栖川くんはぺこりと頭を下げた。
やっぱり有栖川くんはいい。素直で可愛い。無自覚受けだ。
「………」
「何?」
副会長は有栖川くんの腕を掴んで言った。
「昨日も言ったでしょう」
「あっ」
ぐいっと有栖川くんを引き寄せて、悪魔の微笑を浮かべて囁いた。
「君の口の利き方。指導してあげるって」
副会長ルートキタ─────!
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