192 / 306

千尋と園田と金髪変態男2

「いいです! 結構です! あっ」 有栖川くんが副会長さまの腕を引き離そうともがくけど、逆にぐいっと引き寄せられてる。 「やっぱ、お前変態かよ!? 離せってば!」 「君の方こそ、口の利き方には気をつけた方がいい。躾が必要だ」 「なにそれ!? 離せよ!」 そう言って、副会長さまは強引に有栖川くんをどこかへ連れて行こうとする。 BL本やBLサイトさまでも、鬼畜副会長攻めとか割と好きだけど……… 強引なのや無理矢理系もけっこう好きだったりする。でも……… 有栖川くんは怖がってるし、嫌がってる。 最初こそ、はうはうしながら見てたけど、でもこれって違うよね。 僕は勇気を出して茂みから飛び出した。 「あ、有栖川くん! た、高槻先輩が探してるよっ!」 「園田!」 副会長さまが冷たい視線を僕に寄越した。怖い………けど。 「ふ、副会長さま。すみません。あの、高槻先輩がもうすぐこちらにいらっしゃると思うので」 しどろもどろに言った。 「………」 副会長さまは有栖川くんの腕を離した。 「そう。高槻によろしくね」 そして、微笑を浮かべて歩いて行った。 「助かったよ。園田。どうした?」 僕はその場にしゃがみ込んだ。 「怖かったぁ~」 「園田。大丈夫か?」 有栖川くんが心配そうに覗き込む。 「副会長さまなんて、雲の上の存在だよ! 初めて話したし、嘘ついちゃったし。」 「えっ」 「高槻先輩は来ないよ。あのままだと、どこかに連れて行かれそうだったし」 僕はよいしょと立ち上がる。 「園田。ありがとう」 「え?」 「お前、めっちゃビビりながら助けてくれて、ありがとうな」 有栖川くんはニカっと笑った。 最初はニヤニヤしながら二人を覗き見てたことに、ちょっと罪悪感を感じた。 「僕の方こそごめんね」 「なんだっけ? BLイベント? ある時は園田に連絡するから」 ああ、もう。素直で無邪気なんだから。 僕は「ありがとう」と言って、有栖川くんと一緒に美村くんのとこまで戻る。 美村くんは先に食べずに、スマホをいじりながら待っててくれた。美村くんにも「ごめんね」と言って三人でお昼を食べた。

ともだちにシェアしよう!