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千尋と園田と金髪変態男2
「いいです! 結構です! あっ」
有栖川くんが副会長さまの腕を引き離そうともがくけど、逆にぐいっと引き寄せられてる。
「やっぱ、お前変態かよ!? 離せってば!」
「君の方こそ、口の利き方には気をつけた方がいい。躾が必要だ」
「なにそれ!? 離せよ!」
そう言って、副会長さまは強引に有栖川くんをどこかへ連れて行こうとする。
BL本やBLサイトさまでも、鬼畜副会長攻めとか割と好きだけど………
強引なのや無理矢理系もけっこう好きだったりする。でも………
有栖川くんは怖がってるし、嫌がってる。
最初こそ、はうはうしながら見てたけど、でもこれって違うよね。
僕は勇気を出して茂みから飛び出した。
「あ、有栖川くん! た、高槻先輩が探してるよっ!」
「園田!」
副会長さまが冷たい視線を僕に寄越した。怖い………けど。
「ふ、副会長さま。すみません。あの、高槻先輩がもうすぐこちらにいらっしゃると思うので」
しどろもどろに言った。
「………」
副会長さまは有栖川くんの腕を離した。
「そう。高槻によろしくね」
そして、微笑を浮かべて歩いて行った。
「助かったよ。園田。どうした?」
僕はその場にしゃがみ込んだ。
「怖かったぁ~」
「園田。大丈夫か?」
有栖川くんが心配そうに覗き込む。
「副会長さまなんて、雲の上の存在だよ! 初めて話したし、嘘ついちゃったし。」
「えっ」
「高槻先輩は来ないよ。あのままだと、どこかに連れて行かれそうだったし」
僕はよいしょと立ち上がる。
「園田。ありがとう」
「え?」
「お前、めっちゃビビりながら助けてくれて、ありがとうな」
有栖川くんはニカっと笑った。
最初はニヤニヤしながら二人を覗き見てたことに、ちょっと罪悪感を感じた。
「僕の方こそごめんね」
「なんだっけ? BLイベント? ある時は園田に連絡するから」
ああ、もう。素直で無邪気なんだから。
僕は「ありがとう」と言って、有栖川くんと一緒に美村くんのとこまで戻る。
美村くんは先に食べずに、スマホをいじりながら待っててくれた。美村くんにも「ごめんね」と言って三人でお昼を食べた。
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