221 / 306
千尋とシャイニングウィザード4[side 平野]
[side 平野]
「き、きみが悠二くん?」
「だ、誰ですか?」
有栖川くんじゃなかった。ネクタイの色は2年だ。ずんぐりむっくりしたクマみたいに大きな生徒で、目の前に立たれて影になった。
目が怖い。
「あの………」
「思ってたより可愛い」
親指の爪をガジガジ噛みながら言われて、ゾワッと鳥肌がたった。
「友達が待ってるんで、僕、行かなきゃ………あっ!?」
じりじりと後退りして離れようと思ったら、ぐっと腕を掴まれた。
「手紙くれたの、君でしょ」
「手紙って? あの、離してください!」
大きな手で強く掴まれて腕が痛い。
怖くて動けないでいると、ずいっと顔を寄せられた。
「真っ昼間っから、外で犯されたいって。こんな大人そうな子が、そんなおねだりするなんて」
「何を言って………嫌だ! 離………うぐ!」
手のひらで口を塞がれて、人気の無い草むらへ引きずられる。
「うぅッ!」
僕は暴れたけど、かまわず抱え上げられて茂みへ引きずられてしまう。
いやだッ!! 誰か助けてっ!!
ともだちにシェアしよう!