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子猫の秘密

10月の街はハロウィンのディスプレイで溢れていた。 鉄平は仕事帰りの志狼と待ち合わせて、今日の晩ご飯はタイ料理を食べに出かけていた。 鉄平はカオマンガイ(蒸し鶏のせ香りご飯)とジャスミン茶。 志狼はパッタイ(タイ焼きそば)にタイガービールを飲んでいた。 他にも生春巻きや空芯菜炒めなども頼んで、二人でシェアした。 タイ料理屋の店内にもハロウィンのカボチャのオブジェが飾ってあった。 それを見た志狼がうんざりしたように言った。 「ハロウィンだのなんだの、そもそも外国の祭りみたいなもんなんだから、浮かれる奴の気が知れない」 「しろうはハロウィン嫌いなの?」 「コスプレして騒ぐ馬鹿どもが嫌いなんだ。酔っ払って暴れるから、制服警官連中が忙しくなるしな」 「……」 鉄平は黙り込んで、ジャスミン茶を飲んだ。 ───どうしよう……。 鉄平のバイト先の居酒屋、温温庵(ぬくぬくあん)でもハロウィンのイベントをするのだ。 コスプレをしてきた客にはワンドリンクサービス。そして、店員もこの日はコスプレをする。 鉄平はちらりと、生春巻きを頬張る志狼を見た。 ───しろうには内緒にしなくちゃ。 ハロウィンにバイト先でコスプレをすることは志狼には言わないでおこうと、鉄平は思った。

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