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好きということ3

「俺も……」 優しく頬を包む志狼の大きな手に、小さな手を添えて鉄平は伝えた。 「好き。俺もしろうが好き」 「……鉄平!」   志狼の体が衝撃を受けたかのように震えて、すぐさま噛み付くようにキスをされた。 情熱的な接吻に、鉄平も一生懸命に応える。 「ん……ふぅ……あ」 志狼の腕で、痛いくらいに強く抱き締められた。口づけを解いて、志狼が切ない声音で鉄平に願った。 「……もう一度、言ってくれ」 「しろうが好き」 「俺もお前が好きだ」 二人は何度も甘い口付けを繰り返した。 結局、この夜はそのままホテルに泊まったが、セックスはしなかった。 ただ裸で抱き合い、キスをして、互いに触れ合っているだけで満足だった。 特に志狼は鉄平に触れていないと落ち着かないとでも言うように、髪にキスしたり、頬を擦り寄せたりしていた。 誰にも奪われるなんてできないくらいに、鉄平は志狼の腕の中にすっぽりとおさまっていた。 「もっと言えよ」 「んん……好きだよ。しろう」 うつらうつらし始めた鉄平に、志狼がしつこくねだった。 「もう妬いてお前を傷付けたくない。だから、言ってくれ」 「しろう……」 志狼はいつだって余裕のある大人だと思っていたので、鉄平は少し驚く。 まるで志狼の方が子供みたいだ。 嫉妬して鉄平にお仕置きなんてしていたのだ。 意外にも余裕のない子供っぽさを感じて、鉄平は笑った。 そんな志狼が可愛いと思うし、大好きだと思う。 笑いながら、志狼の欲しがる言葉を声にして伝えた。 「だいすきだよ。しろう」 そして、ちゅっと啄ばむようにキスをした。 「……また、明日ね」 鉄平は志狼の腕の中で、むにゃむにゃと眠りの世界に旅立つ。 自分を抱きしめる大きくて力強い腕の中で安心しきって眠る子猫のように。 「……また明日。おやすみ。タマ」 そうは言ったものの、志狼は未練がましく鉄平の額や頬にキスを降らせていた。 そのうち鉄平の穏やかな寝息に誘われて、腕の中の小さな温もりに安堵したように志狼も目を閉じたのだった。 end.

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