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扇風機
「…風がこねぇ」
「あ゛~聞こえねぇ~」
独り占めした扇風機の前で宇宙人ごっこを楽しんでいる光 を横から蹴る。
「いってぇな、暴力反対!」
「なら扇風機の首回せ。」
「聞こえない~」
「…(-_-#)」
Tシャツの裾をパタパタとさせながら一人涼む幼馴染みに、軽くキレても許されるよな?
「おい」
「んあ…!?」
後ろ髪を引っ付かんで上向かせると、そのまま唇に自分のそれを重ねる。
チュッ…
軽く吸い上げ顔を離すと大きく見開かれた瞳がこちらを見ていて。
「な、な…」
「蹴ってもダメなら触るだけだけど?」
「ごめんなさい。首回します。目が怖いです。据わってます。」
あたふたと扇風機に手を伸ばすのを「よし」と眺めゴロンと床に転がる。
「もっと雰囲気のあるキスにしろよなぁ…」
やがて風と共に流れてきたボヤきに、自然と口の端が持ち上がっていた。
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