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第一章・翌朝。

 (二)  それはまるで人々が流した血のようだ。赤々と燃える太陽は山岳からゆっくり顔を出し始めている。翌朝、小高い丘が続くそこにキアラン率いる光のエルフの軍勢があった。 「近いな」  キアランは馬から下りると大地に耳を傾け、大地をも揺るがす大きな地響きを聞いていた。 「ああ、奴らとの距離はあともう一里ほどもないだろう」  ジュリウスは前方から漂ってくる血なまぐさい匂いに顔をひそめ、前を見据えていた。  この匂いは何によるものなのかは知っている。おそらくは、魔族が奪った命の数々だ。 「数はざっと三十ほどか。兵を二手に分けたおかげで奴らの方が多いぞ」  ジュリウスは続けて口を開けば、キアランが手を掲げる。 「数は、だろう? フェイニア国が誇る我が軍の鋭兵には及ばぬ。皆、武器を構えよ! 弓隊用意」  いよいよ魔族の軍勢に近づいていることを察知した二人は馬に跨ると剣の柄に手をかけた。同時にキアランは後ろにいる弓兵に指揮をとる。  弓兵はキアランの号令を受け、一斉に構えの体勢をとると、目の前に流れる景色の先に動く者を捉えた。 「放て!!」  エルフの矢は一度放てばけっして的を違えることはない。強力で的確なものだ。弓兵たちの手から離れた矢は鋭い雨となって降り注ぐ。すると間もなくしていくらかの苦痛を訴える悲鳴と地響きを耳にした。  それでも魔族は放たれた矢の雨をくぐり抜け、こちらへやって来るだろう。キアランは剣を鞘から引き抜き、構える。

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