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第一章・王子としての器。

「ジュリウス、お前はどうする? 村の民と共に先に帰還するか?」 「まさか。何年の付き合いだと思っているんだ。こうなったらとことんまで付き合うさ」  ジュリウスとキアランは、ジュリウスが一般兵から親衛隊隊長に昇格した頃からの付き合いだ。知り合ってもう十年以上にもなる。王子の、この恐ろしい行動力はほとほと呆れる。しかし、彼のその性格で救われた命は数多くあるのもたしかだった。  キアランという男はひとたび自分がこうと決めたら意志を曲げない堅物だ。そしてそれは強固な槍にもなる。彼は生まれながらにして民たちを導く王としての器がある。  ジュリウスは肩を窄め、諦めにも似たため息と共に決意を口にした。 「感謝する」  キアランは顔を上げ、頭上に広がる瞬く星々を見据えた。

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